『「読む力」はこうしてつける』(吉田新一郎・新評論2010)は、子どもたちに読む力・書く力をつけさせるには格好の本です。私も大学の授業で利用しています。
私の勤めている大学では、1年から4年まで週に1コマ「セミナー」という授業があります。
要は小中高でいう「学級活動」+「読み書きのリテラシー」の時間というとわかりやすいと思います。その「読み書きのリテラシー」の部分で、この本を利用しているのです。
この本の中に「第7章・質問する」という項目があります。
98ページには、「質問力の向上によってもたらされる効果」として、以下のように整理されています。
・質問することの価値を知っていて、読む前、読んでいる間、読んだあとに質問ができる。
・意味をはっきりさせるため、書いてあることを予想するため、書き手の意図や書き方を知るため、書いてあることを疑って見るためなど、様々な目的の質問ができる。
・質問をすることで理解が広がる(深まる)ことが分かる。したがって、記憶にも残りやすくなる。
・質問が、文章(ないし作者)とのやり取りを可能にする。
(以下 略)
私の担当しているクラスの学生は小学校教諭や特別支援学校教諭を目指している者がほとんどですので、この「質問する」ことがいかに大切かを繰り返し学ばせたいと考えています。
105ページに「レッスン⑦詩を使った質問づくりの練習」がありますが、これを先日実施しました。詩は、この本でも紹介されている「世界は一冊の本」(長田弘・みすず書房2010)を使いました。
まず、朗読してから、学生たちに思いついた質問をワークシートに書かせます。
こんな質問が出てきました。
「権威をもたない尊厳とはどういうこと?」
「マヤの雨の神の閉じた二つの眼とは?」
「トンブクトゥってどこにあるの?」・・・・
「これはどんな意味なのか」、「もしかしたら、こんなことを作者は言いたいのでは」
など、いろいろと意見が出てきます。このあたりのやり取りが面白いですね。
この詩は、読み手に様々なことを考えさせてくれる、とても面白い詩だと思います。
この「読む力・・・」には、「読む力をつける」効果のある方法がたくさん紹介されています。特に、小学校の先生方に読んでいただきたい本です。