2026年6月7日日曜日

学校の壁を取り払うーネガティブな情報をポジティブに出そう

 地域の小学校で開かれた会議での一コマです。参加者は、教育委員会や地域の有識者など。学校から、本年度の取り組みの概要説明があったあと、質疑応答の時間がありました。


「掃除の時間が週に3回しか計画されていません。子どもたちには、自分の学校を大切に思うようになってほしいので、掃除をさせてほしい。」

「児童の下校時間が、月曜日は14:20に設定されています。大切な週の始まりですよ!他の日は、15:30以降です。あまり早く下校させると、家庭も困るのではないですか?」

「新学期の家庭訪問は無くなったのですか?」

これらの質問に対する学校側の回答は、どれも納得いくものでした。全て教員の働き方改革の一環として、熟慮の上決めたというのです。

子どもたちが自分の学校を掃除して、きれいに保ち、愛着を持てるようにする。そのことの価値は、十分に分かるけれど、少しでも、教員が子どもたちと向き合い、教材と向き合う時間を確保したい。

15:30から勤務時間終了までは、およそ一時間しかない。小学校では、基本的に担任はクラスに張り付いて1日を過ごすので、様々な校務をできるのは、この時間帯しかない。

しかし、今のままでは、学校の現状や今後の進め方について、同僚と意見を交換する時間はほとんど取れない。せめて、週の初めの1日くらいは、自分たちの教育実践を振り返り、課題や成果を共有し、次に向かうエネルギーと指針を得たい。新規採用教員を含めた若年教員の成長を支援するための時間もほしい。

家庭訪問を取りやめる学校は増えているらしい。きっかけは、コロナ禍だったようですが、その後、正式に取りやめる学校が増えた。いわば「昭和スタイル」の家庭訪問は、現在のライフ・スタイルや価値観にそぐわなくなってきているというが理由です。そのために浮いた時間で、子どもたちにとってプラスになることをやりたい。

いずれも、賛否両論あることだと思います。子どもたちや家庭のサポートは、丁寧に、親身に、労を惜しまずやる方がいいに決まっている(と多くの人が思っている)。

しかし、あえて、そのような一時代前の価値観に決別をしたことを支持したいと思ったのです。

その上で、もっと積極的に、このような情報を発信してはどうかと思ったのです。

今回の決断は、一見、後ろ向きに見えるものです。これまで、やってきた、丁寧で、行き届いた配慮を止めるわけですから。ネガティブな情報は、出しづいらいものです。

しかし、その決断が最終的には、教職員一人ひとりの日々の過ごし方を変え、ウエルビーイングを実現するものだとしたら。その確信をもった上で決断したのだとしたら。その決断は、必ず共感を得られるはずです。このことが、学校コミュニティーを創っていく上での、強い味方づくりにつながれば、とても素敵なことです。

学校のリーダーシップの革新を迫った『学校のリーダーシップをハックする』の、ハック4にある、次の一節は、私にとって忘れられないものです ★:

「学校のストーリーを語るのは学校文化をつくることにつながり、学校コミュニティーのメンバーとしての一体感をすべての人にもたせてくれます。リーダーが語り手になること、そして学校の成功を祝おうと決めたときに初めて、学校はルールで縛られた訓練をするだけの場所という保護者の認識が改まり、楽しむべき学習コミュニティーへと転換するのです!学校の壁を取り払えば、あなたの学校とコミュニティーが変わるはずです。」

ネガティブな情報を含めて、学校のことをもっと自ら語るようにすれば、少しづつ学校の壁は崩れていくはずです。



★ ジョー・サンフォリポ&トニー・シナシス (2021) 『学校のリーダーシップをハックするー変えるのはあなた』新評論, p.106. 同書ハック4「学校の壁を取り払う」をご一読ください。