2011年9月11日日曜日

ビジョンについて

 学校では「多忙感」が語られることが多いが、以前「いい学校の選び方」(吉田新一郎・中公新書)の中で次のように述べられていたことを思い出す。
「しかし、ビジョンはないのに、みんな忙しい。〝気の毒なほど〟忙しい。・・・・なぜ忙しいのか考えてみた。私は何度考えても「ビジョンがないから」という結論に達してしまった。」(p.241~242)
 まさにこのことが重要なのだと思う。

 しっかりとした見通し、組織としてのビジョンがあれば、その組織の成員は「多忙感」を肉体的、物理的には感じていても、精神的にはほとんど感じないのである。このことは自分自身の経験からも言える。

 それほどビジョンは大切なものだと思う。
 今年度も、もうすぐその半分が終わろうとしている。
 年度初めに職員に示したビジョンがどの程度浸透し、また実現されているかを振り返り、必要ならば修正したい。

 また、自分の学校がどのような方向を目指しているか、生徒たちや保護者にもわかるようにしたい。これが「学びの共同体づくり」
の出発点であると思う。そして、当然このことは最初のビジョンづくりに、これら学校関係者すべての思いが盛り込まれる必要があることを示している。

 今の自分の勤務する学校がそのような状態になっているのかどうかをしっかりと振り返りたいと思う。実に教育という仕事は創造的な仕事である。
 
 

2011年9月3日土曜日

小中一貫教育

 ここ数年、小中一貫教育を取り入れる自治体が増えている。
 もちろん、少子化による学校統廃合という観点からの導入も少なからずあるようだ。
 それ以外の導入理由は、不登校、いじめが中学1年になると急増するという、いわゆる中1ギャップ解消の切り札としての期待であろう。
 つまり、学校文化の異なる小学校と中学校の接続を滑らかにしようというねらいである。ただ、これまでにも「小中連携」の活動はあった。そのあたりの違いが明確にできるのかどうか。そこを意識してのことだと思われるが、小中教員による交流授業(小学校教員が中学校に出向き、中学校教員が小学校に行き授業をする)を取り入れる自治体が多いようだ。
 ただ、これは当該小中学校の教員にとっては大きな負担である。
 本務である自分の勤務校を離れて、交流先の学校に出かけていき、それでお互いの学力はどうなるのか、という心配は当然である。そこのところをどううまくやっていくのか、ここが実施する自治体、教育委員会の腕の見せどころかと思う。もっとも、授業改善につながらない一貫教育は最初からやらない方がいいに決まっているのだ。