2021年1月3日日曜日

新刊案内『読む文化をハックする』

 新年おめでとうございます。

 2021年もよろしくお願いします。

 あなたにとって、2020年はどんな年だったでしょうか? 新型コロナに振り回された1年だったでしょうか? 2021年はどんな年にしたいですか? しますか? 私は少なくとも、これまで以上によく考えて行動したいと思います。(思考停止のまま、行動することは避けたいです。新型コロナによって、いろいろな意味で不確実性が増しているので!) 本やネット情報を読むこと★は、考えるのに大いに役立ちますが、学校の中では長年軽視というよりも無視されてきています。

 以下は、新年早々のハック・シリーズの発行者兼編集者が、『読む文化をハックする』の「まえがき」に書いた文章の一部です。

もし、生徒全員が本を好きになり、熱心な読み手になったら、教育において私たちが苦慮しているすべての面が向上すると私は信じています。そして、生徒のテストの得点は飛躍的に伸びるでしょう。生徒は、興味のあるすべての教科領域で優秀な成果を収めることでしょう。カリキュラムと並行した活動や地域社会での活動にも参加する者も増えるでしょうし、すべての生徒が卒業できるでしょう(注・アメリカの高校ではドロップアウトが大きな問題です!)。

これらの大胆な信念のうちの一つでも真実であるとすれば、すべての教育者の第一目標は「読むことが好きになる気持ちを育てていくこと」になるでしょう。しかし、現実においては、教養のある生徒を育てようとしているはずの学校でその目標を達成できていません。それはなぜでしょうか? 少なくとも20年以上クラス担任を務めてきた経験に基づく私自身の仮説ですが、その答えの一つは、学校の全体構造が読む力を妨げるようにデザインされていることです。私たちは、教育スタンダードや生徒の学力向上、振り分け機能を持つテスト(学力テストや入試など)の点数を上げることを優先しているため、本を読んだり何かを書いたりするのが好きだという気持ちをサポートすることの大切さに気づけていません。

 本書の著者であり、「教育ハッカー」であるジェラルド・ドーソン先生は、非常に多くの新任教師やベテラン教師が成し遂げられなかった一つのシンプルなアイディア(考え方)に気づきました。それは、生徒が読むことを好きにさえなれば、私たちがこれまで教えようと思って絶え間なく努力してきた何もかもが、実にスムーズにいくようになるというものです。ドーソン先生は、この考え方について単に頭で分かっているだけではなく、実際に行動に移し、活き活きとした「読む文化」を生み出す教室を構築してきたのです。

 本書『読むことをハックする』でドーソン先生は、この読む文化の特徴を明らかにし、どんな教師でもそれを再現することができるようにエンパワーするための取り組みやすい方法を示してくれました。そのなかで彼は、とかくやる気のない生徒に対して毎日教えようとする教師が直面している問題を鋭くつきとめ、教室における読む文化を自分なりに築いてきたほかの教師の事例や逸話も紹介しています・・・・・各章を読み進めていくと、彼の目的がはっきりと分かるようになり、あなた自身も教室や学校ですぐに取り入れたいと思うことでしょう。

 以上のことは、国語の教師だけに任せておけばいいものではありません。社会(生活)、理科、算数・数学、保健体育、音楽、図工・美術、家庭科等、すべての教科で読むことを学びのベースにしていかないとまずいです! (道徳は、逆で読み物教材からの脱出を図る必要があるので含めません。子ども同士の話し合いこそが大事です! https://www.amazon.co.jp/dp/4091045197/ を参考にしてください。)

★もちろん、何でも読めばいいというわけではありません。選書能力がとても大切なのですが、これも長年、日本では扱われてきていません(何せ、どこかの誰かが決めた「良書主義」をとり続けていますから!)。個々の生徒や教師にとってベスト(ぴったり)の本を選べるようにしないと、誰かに操作されやすい社会をつくり出すのに協力しているだけになります!


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