授業が大切なことはだれもが理解していますが、授業改善のための教師相互の授業見学は若い教師にとっては大切な方法の一つです。
最近出版された『「学校」をハックする』(新評論2020)では、このことが取り上げられています。同書30ページからの「ハック2」では、「オープンクラス・チャート」サブタイトル「見学可能な授業の一覧表で教師の協働を後押しする」が紹介されています。
パイナップルは伝統的な歓迎のシンボルです。玄関マットやドアにパイナップルがあるときは、「みなさんご自由にお入りください」というメッセージになります。★)オープンクラス・チャートとは、同僚に対して「見る価値のある面白いことをやりますよ」と知らせ、いつでも見学可能というメッセージを「ウェルカムボード」に託してすべての教室に掲げることです。
オープンクラス・チャートは、ホワイトボードのようなものをカラーテープやマーカーで曜日と時間割を区切ってつくります。そして、職員のメールボックスやコピー機など、多くの人が使用する場所の近くに設置しておきます。
この部分を読んで、「なるほどこんなやり方があったのか」と、ほんの少しの工夫で相互研修の機会を生み出すことができるのだと思いました。校内研修というと、改めて何かをやるという意識になってしまいがちですが、日常的にこのような機会をつくるのが充分可能であることを再認識する必要がありそうです。校内研修で時間をかけて指導案を検討するのも若手教員には必要かもしれませんが、中堅以上の人にはそれほど効果がないということはこのブログでも再三お伝えしてきたとおりです。それよりも、ちょっとしたアイデアをお互いに見せ合って、意見をもらう方がどれほど役に立つかわかりません。
また、同書153ページの「ハック9」の「透明な教室」では、SNSを利用して教室の学びを公開する方法が述べられています。
SNSやその他のアプリで教室の壁を透明にすることが可能になり、授業における学習活動をほかの人たちと共有することができるようになったのです。(156ページ)
保護者に対して、頻繁にかつ気軽に教室の中が見られるようにすることで、誤解を与える可能性を大きく減らすことができると同時に、もっとも大事な人々と強いパートナーシップを築くことができます。(157ページ)
また、同書には、このようなやり方をうまく導入する段階的な方法が「完全実施に向けての青写真」として紹介されています。いきなり何もないところから一足飛びにこのような試みを実行しようとしても失敗する可能性が高いものです。ぜひ、この本を参考に多くの先生方がこのようなことに取り組まれることを期待したいと思います。
今年最後の「PLC便り」になりました。
来年も引き続き、よろしくお願いいたします。
★)同書の訳注にはこのように書かれています。
本物のパイナップルではなくて、サインとして使っています。原書ではパイナップルの説明を使って「パイナップル・チャート」となっていますが、日本語訳としてはピンとこないので「オープンクラス・チャート」にしました。
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