2020年5月24日日曜日

オンライン授業でのコミュニティーのつくり方 by ケイトリン・クラウス


 自分の授業をオンライン中心にシフトしたのは、10年前です(今回のコロナ・パンデミックのはるか前です!)。従来の対面式の授業をしていた時よりも、はるかに柔軟で、クリエイティブになる必要がありました(同じマインドセットでは、ダメだということです!)。生徒とのつながりを、あらゆる手段を利用してつくり出しました。Padletの前身のTitanPadを愛用しました。他に使ったのは、ブログ、一対一での反応、生徒のジャーナル、ディベート、そして質問づくりなどです。

 私は、成績を出すことから、口頭でのフィードバック、話し合い、振り返りをベースにした自己評価に転換しました(この点については、『成績をハックする』が参考になります。成績を出すことから解放されると、授業の仕方はもちろん、生徒との関係も変わります!)。その結果、生徒たちの学びは開花しました。それは、ICTによるものではありませんでした。それは、学びのコミュニティーができあがり、生徒たちが相互にケアし合ったからです。
 以下に、その強固なコミュニティーをつくり出し、それを維持するための5つの方法を紹介します。

1.まずは自分のベルトをしっかり締める★
 私は教師が自分を大切にすることを、長いリストの最後にされているのをたくさん見てきました。でも、それが最も大切なので、最初に挙げました。学びは量ではなく、質が大事です。瞑想も、振り返りも、マインドルな呼吸でも何でもいいですが、自分を取り戻すことを最優先してください。この点については、『校長先生という仕事』の中で校長に求められるリーダーシップの枠組みを6つに整理し、その中の一つが「自分を大切にする」で紹介していますので、ぜひ参考にしてください。クラス単位では、すべての教師も間違いなくリーダーですから。残りの5つも役立ちます!)

2.つながりを築く活動をする
 あなたが強調すべきは、内容ではなく、つながりです。関係と信頼さえ築ければ、あとはすべて付いて来るとさえ言えるぐらいです(逆に、これらがなければ、すべては難しくなります!)。
 オンラインでの授業のときも、アイスブレーキングが大切です。(いくつか紹介しますが、ご自分の持ち駒の中から、いいと思ったものや、ここで紹介しているバリエーションを考えてやってください。)

3.全員に役割を与える!
 オンラインでの授業は、各生徒が情報を受け取る時間は必ずしも同じではありません。生徒たちは、自分の都合のいい時(やりたい時)に、やりたいペースで、やりたいだけやれることを意味します。
 考えられる役割としては、「語彙(言葉)博士」「参考文献博士」「キューレーター(集めた情報を評価判断して、発信する人)」「マインドマッパー(集めたものや学んだことを整理するための図化する役)」などです。(これによって、単に情報を受け取るだけでなく、発信することや貢献することを意識しはじめます。情報を受け取るだけだと、すぐにわかった気になれますが、それを発信するとなると、自分が本当は理解していないことに気づかれた方は多いと思います!)

4.質問を大事にする
 多くの場合、質問は答えよりも大切です(その方が、記憶にも残ります!)。オンライン・スペースでは、たくさんの質問、探究、研究、発見が起こる可能性が、対面式よりもはるかに大きいです(オンラインの方が、自分で考えたり、振り返ったり、思いを膨らませたりする時間が多いので、対面の場合よりも、はるかに好奇心を表に出しやすいからです。いま『Cultivating Curiosity(好奇心に満ちた授業のつくり方)仮題』を翻訳中ですので、お楽しみに)!
 もちろん、教師の役割も、これらを促進するように、問いかけをモデルで示します!

5.話すことよりも、聴くことに焦点を当てる
 対面式の授業では、教師は生徒たちの言うことを聞くことよりも、自分が話す方に焦点を当てていました。しかし、オンラインの場合は、その転換が可能です。だからといって、慣れていないことがすぐにできるようになるわけではありません★★。意識して生徒たちの言いたいことに耳を傾ける努力が必要です。(聴くことに関しては、『好奇心のパワー』がおすすめの本です。)
 ここでも効果的なのは、各生徒のブログとジャーナルおよび一対一でのやり取り(=カンファランス)です。



★これは、飛行機に乗った時、子どものシートベルトよりも、親のシートベルトや酸素マスクを先に付けるように指導されることから来ています。


0 件のコメント:

コメントを投稿