最近、知人が新たに学習塾を立ち上げようとしています。私は時々ボランティアとしてお手伝いをしていますが、その塾のスタイルはある会社が制作した学習コンテンツ(小学校から高校まで)を子どもたちにWeb上で学ばせるというものです。
もちろん基本は塾に通う「通塾スタイル」なのですが、今の感染症対策から自宅でのオンライン学習も認めるようです。感染症対策のなかで、学習塾もしばらく自粛の対象となり、対面授業は中止しているところが多かったので、このオンラインスタイルは需要が結構多いようです。もちろん子どもだけに任せていては、なかなか目標を達成することは難しいので、途中の進行管理は必須です。学び方の多様性については、このブログでもいろいろと取り上げてきましたが、これからは学校の授業もそうですが、このような様々な学びのスタイルがあっていいように思います。
各分野の学びのなかで、「語彙」を学ぶことは基本の一つです。前回も紹介した『教科書をハックする』(新評論/2020)にも、いかに子どもたちに語彙学習を楽しく進めさせるかという章があります。(第3章101ページから138ページ)
そのなかのある節「よい教科書の語彙の使い方」には、次のような一節があります。
もし、あなたが使っている教科書が複雑すぎて、あなたでさえ二回読まなければ分からないような定義を載せていたり、新しく登場する難しい言葉に説明がなかったり、「たとえ」が提供されていなかったりする場合は、可能ならば教科書を換えるか、補足的な資料をもとにして授業を展開することをおすすめします。理想的と言えるものは、以下のような方法で新出語彙にアプローチしている教科書です。
・語彙を予習し、生徒の予備知識とつなげている。
・生徒になじみやすく語彙を定義している。
・語彙がどのように使われるかという例を載せている。
・章のなかで、違った形で語彙を使っている例を数回以上載せている。
実際問題として、教科書を変更することはできないと思いますので、上記の例にあるような形で補足資料を使いながら、子どもたちが語彙を学ぶことをサポートしたいものです。この語彙の定着には、ある程度のドリルが必要な場合もあると思いますが、そこは今まで以上にICTの力を借りてもいいと思います。これまでの紙ベースの教科書と異なり、ディジタル教科書では、重要な語彙や新出語彙について、子どもたちの理解を助ける機能が付いているので、こうした機能の利用も進めたいものです。
さきほどの『教科書をハックする』には、次のような一文もあります。(116ページ)
予備知識は、生徒が内容に関連した新たな情報をどれだけ学べるかを示す重要な指標となります。同様に、生徒たちが語彙に関連した予備知識と結び付けられるとき、彼らはその言葉の意味をよく理解し、より容易に文章を把握することができます。
この後に、具体的な指導方法として「語彙をごちゃ混ぜにする」「質問カード」「語彙知識を精巧化するためのモデル」などが紹介されています。興味のある方はぜひこの本をお読みください。
話は変わりますが、「Monoxer」というアプリがあります。「モノグサ」(ネーミングも面白い)と呼ぶらしいですが、これはアップルでもアンドロイドでも両方用意されているようです。個人でアプリをダウンロードしてスマホなどで使う分には無料で使えます。(もちろん課金されるコンテンツも含まれています。)このアプリの特長は、自分が覚えたい語彙などをその説明とその語彙を入力するだけで、選択肢のある問題などをAI機能の利用によって、そのアプリが自動で作成してくれるところにあります。しかも、語彙の定着度を自動判定してくれる機能までついています。
中学校では、中間テスト、期末テストを実施している学校が多いと思いますが、その定期試験対策としても使えます。試験範囲の英単語や歴史の年号、元素記号や新出漢字など、覚えなければならない語彙はたくさんあります。その定着のためのアプリとしてこんなに便利なものはないでしょう。こういうイノベーションはどんどん取り入れるべきです。そして、こうして学んだ語彙を使って、探究の学びの範囲をもっと大幅に広げることができるでしょう。
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