2020年3月1日日曜日

教科書がテーマの本の新刊案内


 「学校での授業」と聞いたら、あなたは何を一番に思いつきますか?
・兵隊さん並びの机とそこに座る生徒たち?
・教科書?
・時間割?

 他に何を思いついたか、ぜひ教えてください!(pro.workshop@gmail.com宛に)
 これらは、21世紀のいまとなってはすべてハック(改良・改善)を要することばかりです。(残念ながら、文科省や教育委員会をはじめ教育に関わる人で、このことを意識している人はまだほとんどいません!)
 https://projectbetterschool.blogspot.com/2019/10/vs.html で紹介した図をもう一度見ていただくと、明らかです。いつまで左側を学校や大学でやり続けたら気が済むのでしょうか?

 また、まだしたことがない方は、「教科書があることのプラス面とマイナス面」というテーマでブレインストーミングをしてみてください。私自身、10年近く前に自分でし、そして10人以上の先生たちにも協力してやってもらいました。その結果は、プラス面を出せた人はあまりおらず、マイナス面の方がかなり多かったです。(教育の名のもとに行われている多くのことで、このような実態のものがいかに多いかを、この簡単な方法が明らかにしてくれます! ぜひ、いろいろなテーマで試してみてください。そして、その結果を教えてください。)
 その時は、残念ながら、その先には進めませんでしたが、教科書との関係を何とかしなければ、という気持ちを引きずっていたのが、今週売り出される『教科書をハックする~21世紀の学びを実現する授業のつくり方』につながったわけです。

 本は、まさに生徒たちが退屈し、主体的にはなれない授業から脱して、自立した学び手になるために練習する授業のあり方を具体的に提示してくれています。(ある意味では、図の右側を実現するための方法を具体的に書いている本、と位置づけられます!)

 ここでは、先週の「PLC便り」や、金曜日の「RW/WW便り」(http://wwletter.blogspot.com/2020/02/blog-post_28.html)とは違った点にフォーカスして紹介します。(第7章の「テキストセットで本物の学び」★と第8章の「教科書をハックすることでワクワクする学びを実現する」の二つです。)

 第7章は、次のような文章ではじまります。


 これは、あなたの予想をはるかに超えた教科書批判に聞こえますか? 残念ながら、教師が教科書をカバーすることに頭がいってしまうと、学びは飛んで消えてしまうからです。思い出してください、自分の生徒・学生時代を! 教師や教授たちは、がんばって教科書やシラバスをカバーしてくれましたが、どれだけのものが残っている/身についているでしょうか?

 一冊の教科書(あるいは、一つの教材や指導案)が、教室にいる全生徒に等しく適切に受け入れられないことは、教師なら誰もが知っています。多い場合でも半数ぐらいで、時には1~2割でしかないことも。

 『教科書をハックする』の著者は、この問題を乗り越えるための方法として、テキストセットを提案しています。その中に含まれるのは、表7-1に示されているように極めて多様です。21世紀の学びに適していると思われませんか?(それに対して、教科書に固執するのは、20世紀というよりも、19世紀の教え方・学び方です!)

 もちろん最初からこれらすべてをすべての単元で用意する必要はありません! 教師が(可能なら同僚や司書等の協力を得ながら)自分がいいと思う内容のものを徐々に集めていけばいいのです。いいところ、年に2つ、3つの単元というところでしょうか?

 第8章では、教科書を唯一のテキストとして使うことから解放された、いくつかの学校が紹介されています。その中心は、探究学習です。(それは、「学校 vs 学校外の学び」の表からも明らかです! 特に一番最後。)

 294ページに、次のように書かれています。

探究学習に取り組むたくさんのモデルがありますが、簡潔で実行可能なプロセスのモデルを作成している研究者もいます。
・熱中する――好奇心を呼び起こし、背景を築き、テーマを見つけ、不思議に思う。
・探究する――質問を考え、情報を検索し、答えを発見する。
・合体する――研究を強化し、情報を統合し、そして知識をつくり出す。
・発表する――学習を共有し、理解を示し、行動を起こす。[参考文献57

明らかに、教科書のある章から次の章に移動するときに探究に取り組むことは不可能です。しかしながら、教科書の情報をほかの情報源と一緒に使うことが探究プロジェクトの基礎を間違いなくつくります

 このことから、20年前に導入された(しかしいまは、風前の灯火の感が否めませんが!)総合的な学習も、的外れではなかったことが分かります。ただ、文科省や教育委員会が、それを実施する先生たちに、ちゃんとした情報提供と「それ」が何かを理解してもらい、実践するためのサポート★★を提供できなかっただけです。(20年後のいま、同じことが「探究学習」で起ころうとしています! 私たちは、過去の歴史と海外の取り組み★★★から学ぶことができるでしょうか?)

PLC便り」の読者への割引情報
定価   2640円のところ、
1~2冊は2400円(税・送料サービス)、
3冊以上は2200円(税・送料サービス・宅配便での発送)

ご希望の方は、①冊数、②名前、③住所(〒)、④電話番号を 
pro.workshop@gmail.com  にお知らせください。

※ 1~2冊の場合は、送料を抑えるために割安宅配便を使っているため、到着に若干の遅れが 出ることがありますので、予めご理解ください。

★このタイトルから分かるように、教科書での学びは「偽物」であることが伺えます。「学校ごっこ」や「正解あてっこゲーム」ばかりが横行してしまいますから。

★★サポート/フォローアップなしの研修は、何もやらないのと同じです(というか時間と予算の無駄遣いなので、やらない方がいいです)!!

★★★本ブログで紹介してきた、『だれもが科学者になれる! ~ 探究力を育む理科の授業』『PBL ~ 学びの可能性をひらく授業づくり』『たった一つを変えるだけ』『教科書では学べない数学的思考』『イン・ザ・ミドル』、そして今月末に出る『あなたの授業が子どもと世界を変える: エンパワーメントのチカラ』も、すべて探究学習を可能にするための本です。

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