2015年11月15日日曜日

パーソナル検索


最近、「本の底力」(高橋文夫・新曜社2015)という本を買いました。

この本は出版社の新刊案内にあった紹介文から、よさそうな内容だったので購入した本です。よく、新刊案内の文章はよかったのに、いざ実物を手にすると、期待したほどではない本もありますが、この本は期待に違わぬよい本でした。

その中の一節に「グーグル、「パーソナル化」検索の方針を打ち出す」という項目があります。

 
 グーグルは200912月、公式ブログで「40か国語に及ぶ全世界を対象として全利用者にパーソナル検索を導入する」一大方針を明らかにした。(http://googleblog.blogspot.jp/2009/12/personalized-search-foreveryone.html)


 利用者が検索したい言葉を入力すると、グーグルは利用者の居住地域をはじめ、過去にクリックした履歴、広告へのアクセス状況、フェイスブックなどの交流サイトの利用結果などをもとに、検索内容をえり分け、利用者のねらいに合うと想定した順に結果を表示する。
   

 つまり、その人のアクセス履歴やネットで購入した履歴などを蓄積し、そのデータに基づいて、次に検索をしたときにその人の興味関心に沿うような検索結果を表示したり、おすすめ商品を提示したりするという広告活動を行うものです。グーグルの検索を利用すると、自分の情報がすべてグーグルのデータベースに蓄積されるわけです。

 わが国の最大のポータルサイトであるヤフーもグーグルの検索エンジンを採用しているので、日本のネット利用者の90%以上はグーグルの検索エンジンを利用していることになるわけです。
   

 このパーソナル検索が進んでいくと、どうなるのでしょうか。
 この本の解説によると、第一の問題は、次のようなものです。
   

 「検索していても思いがけない情報と出会うことを妨げ、新たな創造性の芽
  を摘む。人は、自分の知らないことや考えもしなかったこと、理解できな
  いこと、嫌なことなどの異なるものや別のものと出会うことにより、はじ
  めて新しい情報や知識などを得ることができる。だが行き過ぎたパーソナ
  ル化はそれとはまるで逆の方向を向いている。自分に見合う、お手頃な情
  報が返ってくることしか期待できない。」
    

 つまり、「知りたいことがはっきりしていること」を探すときには、パーソナル検索は便利な道具なのですが、それ以上のものは見つからない可能性が高いということです。そうなると、自分に都合の良い情報だけが集まって、自分の先入観や偏見を補強してしまうことになる危険性があるということです。
   

今回、この説明を読んで、検索機能は大変便利なものですが、その裏でこのような欠点もあることを理解した上で日頃から使うようにしたいものだと思いました。学校教育の中でもネットの検索機能を利用する場面も今後一層増えてくると思いますが、子供にはこの点についてもメリット・デメリットをきちんと教えていくことが大切だろうと思います。

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