2011年10月23日日曜日

実は、学校の問題は他にも...

第1号では9つの問題を紹介しましたが、実はリストアップしていたのは他にもありました。ちょっと多すぎるかな/最初から全部を書いたらシンドイかな、と思って遠慮しました。(あのリストだけでも十分すぎるぐらいに深刻ですから。)しかし、以下の3つも学校や授業をよくしていくためには欠かせない重要な要因/問題です。

10) 子どもの学びに関して家庭や地域との協力関係が築けていない
11) 1~10すべてに関する多くの「悪い習慣」や妥協および決定的な情報不足
12) 学校(や授業や教育システム)をさらによくしていこうという意識とアクションの欠如

 11番目はまさに、第1号のコメントとしてトミーさんが、
 「世の中ではこれほど変化に対応する力などと言われているのに
  その根本の学校がそれをおろそかにしています
  または
  わたしたちは永久に変わらない価値を持たなければならないと盲信しています」
と書いてくれていることと大いに関係します。

 国際理解教育や環境教育等をしていた30年前から思っていることなのですが、こと教育に関する英語と日本語の情報ギャップは、100対1か2のレベルです。日本の先生たちや教育関係者は、そんな中でがんばり続けているわけです。しかし、一方で情報を提供する立場にいる人たち(大学の研究者や出版社や文科省?)の怠慢ぶりは目に余るものがあります。1か2が、5や10になるだけでも、ましてや20、30になったらすごいことになることが約束されているのですから。その過程では、たくさんの「悪い習慣」や妥協も明るみになることでしょう。

★ あなたが気づいている/抱えている問題が12個以外にあったら、ぜひ教えてください。

 これらの諸問題に対して、sunflowerさんは自分がやれる/やりたいと心底思うことを、アクションに移し始めていると紹介してくれています。

★ あなたが気づいた対処法、効果的だと思う対処法、起こしたアクションも、ぜひ教えてください。


<以下、メルマガの続き>


 学校は「自分たちがよくしていくところ」ではなくて、「上の誰かが指示して修正してくれる、それを待っているところ」という感覚がまん延しています。しかし、これまでの歴史を振り返ってみても、その誰かがよくしてくれたためしは数えるほどもありません。

 先生方や学校や教育委員会は「忙しい」というかもしれません。実際に、忙しすぎますから。しかし、それが意味のある忙しさかというと、どうもそうは思われません。肝心なところに時間が掛けられず、そうでないところに必要もない時間を割かないといけない忙しさが学校にまん延しています。その理由は、ビジョンのないことです。ビジョンがないと振り回され続けます。優先順位がありませんから。白鳥さんが、このブログの9月11日に書いてくれていたように

 私がビジョンの大切さに気づかされたのは、1991年に読んだピーター・ドラッカーの『非営利組織の経営』という本でした。その中に、「ビジョンのない非営利組織は消えた方がいい」と書いてあったのです。学校は、その非営利組織の一つです。(そうなんです!大切なのは各学校レベルのビジョンです。間違っても教育委員会や文科省レベルではありません。それらは、ほとんど役立つことはありませんから。もちろん、教室レベルというか教師レベルのビジョンは大切です。学校や学年レベルで取り組むことは難しくても、個人レベルで取り組めることは際限なくあり得ますから。)
 残念ながら、その本の中ではビジョンのつくり方までは書いてありませんでした。そこで、ビジョンのつくり方が書いてある本を5年間探し続けて、見つけたのがクリスト・ノーデン-パワーズの『エンパワーメントの鍵』でした(訳して日本で出版するまでにさらに4年もかかってしまいましたが)。組織を元気づけたいと思っている人には必読の書です。「エンパワーする」とは「元気づける/活性化する」という意味です。24時間の物語として書いてあるので、とても読みやすいです。さらには、sunflowerさんが紹介してくれたアプローチ(=「変化の担い手」)そのものとも言えます。

対処法を示した本:
10) いい学校や授業のつくり方について書いた『いい学校の選び方』中公新書
  『効果10倍の学びの技法』PHP新書
  『ペアレント・プロジェクト』ジェイムズ・ボパット著、新評論
11) これまで私が書いたり、訳したりした本は、すべてこれを何とかしようと思ってのことでした。(それは、授業や学校改善に関心を持ち始める前のERIC時代及びその準備期間の1980年代の半ばから始まっていました。)
12) これはひとえにあなたのアクションにかかっています。
  『エンパワーメントの鍵』クリスト・ノーデン-パワーズ著、実務教育出版(品切れ)

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