2011年10月30日日曜日

校長会という組織

 「校長は何をしている人?」




 吉田新一郎さんの「校長先生という仕事」においてこのような投げかけがありますが、大方の回答は「デスクワーク」「会議」「出張」「校内巡視」「情報発信」などでしょう。



 その校長が自主的に組織している団体が「校長会」であるが、一体どのような活動をしているのでしょうか。アメリカの校長会のホームページを見てみると、「指導法に関する最新の情報」「学校経営に関する情報」などが満載されています。ここでは、校長という仕事を続けていく上で、大変有益な情報を手に入れることができます。



 これに対するに、わが国の校長会はどうでしょうか。




 これは私見ですが、「組織を維持することが目的となってしまった団体」と言ったら言いすぎでしょうか。


 さらに付け加えれば、「教員という仕事」の上がりのポストが校長であると認識されている人もいるのではないかと思われます。残念ながら、この考え方が通用したのはすでに遠い昔のことです。校長という仕事は一般教員の仕事の延長線上にはありません。



「地域とともにある学校」という理念が当たり前になった今日、「経営理念」は不可欠のものとなっています。ところが、この人材養成がかなり遅れているのが、今日の教育界だと思われます。


 教育委員会もこの点を自覚しているので、ようやく人材育成に取り掛かりつつあります。


 ただ、そのノウハウをどのくらい持っているのでしょうか。


 また、ただ単に企業の人材育成の手法を持ち込んで成功するのでしょうか。


 この点は、大いに欧米の教育界の手法を学ぶべきであると私は考えています。



(メルマガの続き)





 民間企業のマネジメントは大いに参考にすべきと思います。特に学校のマネジメントで気をつけるべきところは、「授業の質」を上げることを最優先にすることです。企業で言えば、顧客サービスでしょうが、それを学校では「授業の質」「個々の学びの質」と捉えてはどうでしょうか。
 「授業の質」を上げるために何をすべきか、これが発想の原点でなくてはならないと思います。この目標を達成するためには、それを担う教師自身が学び続けられることが重要です。もし、それが何らかの理由で妨げられているとすれば、そこは改善しなければなりません。
 「放課後が忙しくて研修などしていられない」「自分が学ぶ余裕などない」という現場の声はたくさんあると思います。だとすれば、「時間の確保」「研修の機会の確保」を何とかしなければなりません。これを解決するには、管理職の知恵と実行力が必要です。
 たとえば、「時間の確保」のためには、一週間の平日のうち、1日は必ず「部活動休みの日」を作ることが考えられます。これによって、放課後のある程度の時間は、余裕の時間を持てることになります。これを教科部会の形でミニ研修会にすることもできるでしょうし、ネットによって最新の教育情報に接する時間にすることもできます。また、同学年の同僚と最近の授業実践について語り合うのもよいと思います。
 また、このような形でなくても、自分の空いている少しの時間を利用して、パソコンの校内ネットワークを利用して、数人でメールのやり取りで読書会もできます。
 さらに、会議の削減や実施方法の見直しなども工夫の余地があるのではないでしょうか。
 一堂に会する会議には、それなりの意味があるのだと思います。その意味を理解して会議を開くのとそうでないのとでは大きな違いがあるでしょう。吉田さんもその著書の中で次のように指摘されています。
「会議の場での教師の学びと、各クラスにおける教師の授業とは、密接につながっています」(吉田新一郎「効果10倍の<学び>の技法」PHP新書・p.64-66)。
 
 また、このような「学びを優先する学校」を作るには、校長自身が「学びの先頭」に立つ必要があります。校長が月に1冊も本を読まずに、いくら「学びが大切です」と言ってもだれが信じるでしょうか。校内の若手・中堅の職員に対して、「お薦めの本」をアドバイスすることも大切だと思います。生徒に対しても同様です。私は週に1回必ず、昼休みに学校図書館に顔を出すことにしています。そこで、本を手にとってどの本を借りようかと迷っている生徒に声をかけたりしています。学校全体で読書を大切にする雰囲気を作ることも「学びの共同体づくり」のための校長の役割ですね。

2 件のコメント:

  1. 「校長会改善プロジェクト」なるものがスタートできたら、おもしろいですね。

    それとも、そういう努力をすること自体、意味のない組織になってしまっているのでしょうか?

    これも教育界を覆っている「ボタンの掛け違え」の典型的なものの一つだと思うのです。

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  2. 自分の感覚では
    校長会とは教育委員会や教育長が実現したいものや伝達したいことを各校長先生方に伝える会という感覚です
    上記に書かれているようなアメリカの校長会の内容を見ると
    確かにすこし残念な感じがしてしまいますね


    学校内部からビジョンを醸し出し(前回の記事にもありましたね)
    それをすこしでも実現させたり進歩させたりするような経営ができる
    校長先生がたくさんいらっしゃると学校も楽しくなると思います
    もちろん校長先生のめざすビジョンもないまぜにして
    ともに作るという意味です


    学校には守るものと変えていくもののバランスが大切だと思います
    現状の学校は内部から「もっと改善しよう」という声が弱い気がします
    外部の声は強いとは思うのですが。
    変わって良いものと変わってはいけないものが本当に分かるのは
    学校の先生(現場の人)のような気がしています
    学校の先生のみが教育改革を行えるのかもしれません

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