2023年1月15日日曜日

いい授業の妨げになっている指導案(単元計画)と教科書!?

 WW/RW便り: 従来のアプローチ と 求められるアプローチ (wwletter.blogspot.com)PLC便り: 『イン・ザ・ミドル』から学ぶ 学期末に向けた自己評価 (projectbetterschool.blogspot.com)の二つの記事と関連して気づいたことです。

 後者に書かれているような評価をするためには、かなりの部分、前者の表の右側の部分が実現できている授業を、年間を通してしていない限りは難しいからです。

 そんななかで、最近、いくつかの(国語、社会、生活、総合など)授業案・単元計画を見る機会がありました。

 それらは、教師ががんばり、生徒はお客さんないし教師にお付き合い(と忖度を強要する★★)授業です。結果的に、私の知り合いの小学校教師が以下のように書いた状態を起こしてしまう授業です。

 

 娘が小学校で勉強をすることを何よりも楽しみにしていたのですが、そんな気持ちもそう長続きはせず、「国語がつまらない」「算数がわからない」と言い出したのです。どうしてなのか尋ねてみると、「登場人物の気持ちを何度も聞かれるのが嫌」というのです。

 

目標/ゴールがズレている。

 多くの子どもが夢を抱いて学校に通い始めるのに・・・すぐに、苦役になってしまう実態があります。しかし、学年が上がれば上がるほど、その度合いは増し、「七五三」などと言われる(高校生の7割、中学生の5割、小学生の3割が授業を理解できない)状態も続いています

 日本で目にすることのできるほぼ100%の指導案は、単元の終わりがそのテーマに関する学習の完結になっています(子どもにとっても、教師にとっても)。

 おそらく、教科書を書く人や、教科指導を専門的に考えている人たちは、年間10前後の単元を教師がこなせば、「あるべき教科の姿になる」と錯覚しているからだと思います。それぞれの単元は、ブツ切りになっていますから、そんなことにはなりませんし、教科の「あるべき姿」すら描かれていません!(それとも、どこかに書かれているでしょうか? 学習指導要領の目標? それは、教師に、ましてや生徒に伝わるものでしょうか?)

 何よりも、それぞれの教科を好きになってもらうことが大切です。(果たして、それを念頭に置いて教科書や指導案はつくられているでしょうか? 苦役をやらされ続けて、好きになれる人はいません! 私自身、社会科以外のすべての教科が嫌いになりました。社会科だけは、空間認識に秀でているので、学校で学ぶ/学ばされることとは関係なく、地理や歴史は得意であり好きであり続けました。他の教科も、空間に関連させて教えてくれたら、好きになれていたでしょう!)

 すべての教科で、自立した学び手・考え手★★★になってもらうことも最重要の目標です。(そんなこと言っている各教科の指導的立場にある人はいますか? いたら、ぜひ教えてください。)

 好きになってもらうことと同じレベルで、それぞれの教科で、自立した書き手や読み手や話し手や聞き手(国語)、自立した問題解決者(算数)、自立した探究者(理科、社会)などに育てることが目標です。

 しかし、私自身、上記の目標のどれも日本の公教育で身につけたとは言えませんでした。海外の公教育や大学教育でも身につきませんでした。やっていたことは、ひたすら「正解あてっこゲーム」でしたから、偉大な時間の無駄遣いでした。

 それが、単元ベースで教科書をカバーしていく正解アプローチの限界(おかしさ!)です。一番大切なことを軽視どころか、無視し続けています。

 

 上記の目標を実現するためには、サイクルを年間を通して回し続けることが効果的です(それらは、すべて基本的には同じといえます)。

国語ではWW/RW便作家のサイクルの検索結果 (wwletter.blogspot.com)

算数では、WW/RW便り新刊案内『教科書では学べない数的思考 ~「ウ〜ン!」と「アハ!」から学ぶ』 (wwletter.blogspot.com)

理科ではPLC便り: 新刊『だれもが<科学者>になれる!』 (projectbetterschool.blogspot.com)

社会では、PLC便りサイクルを回し続けることで自立的なびの姿勢を育てる『社会科ワークショップ』とは (projectbetterschool.blogspot.com)

そして、生活科でおもちゃ作りなどの単元では、https://projectbetterschool.blogspot.com/2021/05/blog-post_16.html(デザイン思考)が参考になり、これもサイクルを回し続けることでは同じです。小学生(それも、低学年)でも回せてしまうことが、この本で紹介されています。『あなたの授業が子どもと世界を変える』の第7章でも、デザイン思考が紹介されています。

 これらのサイクルを回し続ける(それも、一回や二回程度ではなく、身につけるために何回も回す)ことの大切さを知ったのは、私が50歳、60歳を過ぎてからでした!

 ちなみに、このサイクルを回し続ける教え方は、

https://projectbetterschool.blogspot.com/2015/03/blog-post.htmlの表の一番右側に紹介されている教え方です。別名は「カンファランス・アプローチ」といいます。それは、常に生徒にフィードバック/サポートし続けるアプローチです。残念ながら、表の左側二つのアプローチには、その機能はありません。すでに教師が事前にお膳立てしたシナリオをこなすことが目的になっていますから。それらには、「形成的評価」という発想すらもありません。

 サイクルを回し続ける授業には、すべてWW/RW便り: WWが成功する要因分析 (wwletter.blogspot.com)のような環境も整備されているのが、大きな特徴です。(言い方を変えると、居場所https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784794812247が確保され、SELhttps://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784794812056も、知的な部分と同じレベルで大事にされていることを意味します。)

 

★これの続編が、https://projectbetterschool.blogspot.com/2023/07/blog-post_16.html で読めます。

★★お付き合いや従順・複縦・忖度に値するような授業は、そうあるものではありませんが、これらは今の学校で「隠れたカリキュラム」として、「見えるカリキュラム」(教科指導)よりもはるかに効果的に生徒たちに身についてしまっています。それに対して、授業の多くが「従来のアプローチ」で行われる限りは、そのほとんどが生徒たちには残らない/身につかない形で行われ、教師だけは「やった、カバーした」と言えるものであり続けます。

★★★「自立した学び手と考え手」と「自立して行動する人」は切り離せない関係にあると思います。前者がないので、「観客や傍観者や忖度する人」をつくり出しているという結果になっていると思います。サイクルを回し続けていたり、適切なフィードバックやサポートを受けたりしていたら、行動を起こしたくならない方がおかしいです! それほど、この世界はおもしろいと同時に、問題をたくさん抱えていますから。

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