2023年1月1日日曜日

教師としてのあなたのブランドは?

明けましておめでとうございます。

教員や学校を取り巻く環境は年々厳しさを増しているように感じられます。昨年末には、精神疾患での病気休職の教員が過去最多を記録したという辛い報道がありました。★1 近年、教員志願者の減少も大きな問題となっています。★2  働き方改革の一環として、教員給与の見直しの議論も始まりました。★3 本質的な見直しが行われるのか、注視していきたいと思っています。

私は、小中高の現職の先生方と、交流する機会が多いのですが、実感としても、多くの人が、常に何かに追い立てられているようで、ゆとりや自信を失っているようです。学校という場所は、教師が生き生きと輝ける場所ではなくなりつつあるのかもしれません。大きな問題です。

藤拓弘(とう たくひろ)さんは、ピアノ教室を成功させるためのコンサルティングなどを行っている方です。藤さんは、「こんな先生に習ってみたい!選ばれるピアノの先生が当たり前のように大切にする「5つのこと」」★4 の中で、多くの生徒が集まる教室づくりの鍵は「教室のブランド化」にあると述べています。

教室のブランド化は、生徒集めに役立つだけでなく、ピアノ講師としての自分自身を見つめ直すことになると言います。「自分の理想の教室とは何か?」「講師として自分が目指すべきもののは何なのかを?」を考えるきっかけも与えてくれるというのです。それにより、「レッスンと教室運営を心から楽しめる余裕にもつながること」になると述べています。

藤氏は、多くの成功したピアノ教師に接する中で、ブランドを確立している教師には5つの共通点があることに気づいたそうです。

1  自分のフィールドを持っている

自分が堂々と戦える分野(フィールド)を持っていて、それが自分自身の自信にもつながり、周りの人からも認められている。

2  勉強熱心である

学ぶことに貪欲で、自己を「高める」という意識が人一倍強い。学び続けない限り、自分のブランドは錆びていくという危機感をもっている。

3  自己投資というマインドを持っている

お金も時間もエネルギーも惜しまずに、必要な投資をする。「それは全て自分に返ってくる投資である、ということを認識している」からだと言います。

4  自分の「軸」を持っている

考え方に「ブレ」がなく、確固たる信念に基づいて生きている。絶対に譲れない核をもって、それが指導や学びの根幹となっている。

5  他者に「与える」ことが自然にできている

この部分の説明を、原文のまま引用します:

「自分の仕事に誇りを持ち、そして楽しめる先生は、同時に、自分以外の人に「与える」ことが好きです。自分が良いと思ったことはシェアしたい、という気持ちが強いと言えるでしょう。また、意識しない「無償のサービス」的なマインドが、いつも心の中にあります。こうした先生のもとには、生徒や保護者はもちろん、同業の先生など、その人柄や思いに共感する人が集まります。それが、多くの人が認める「ブランド」となり、講師としてのさらなるブランドとなっていくのです。」

とても分かりやすい言葉で、まとめられていますね。学校とピアノ教室とでは、同じでありませんが、とても参考になる提言です。

教師のブランド化については、アンバー・ハーパー氏の『教師の生き方、今こそチェック!-あなたが変われば学校が変わる』にも取り上げられています。★5 

ハーパー氏は、「あなたのブランドを見出すのは簡単で、あなたの大切な人に尋ねればよいだけです。その人が教えてくれるのは、あなたの基本的価値観と人生の目的が重なり合っている部分です。あなたのブランドは、あなた自身の発言、行動に根ざしており、あなたの自身やあなたの仕事、生活全体にかかわっているものですから、大切な人はわかっているはずです」と述べ、教師が自分自身のブランドを見出すための活動を紹介してくれています。

新しい年を始めるにあたり、あなた自身の「教師としてのブランド」は何か、振り返ってみてはどうでしょうか。多忙な中で、日々こなすだけになる中で、見失いがちな、大切なものを思い出すきっかけになるかもしれません。

今年もよろしくお願いします。


★1「精神疾患で病気休職の教員 過去最多の5897人」

https://news.yahoo.co.jp/articles/a3004f04f18aa48796139ad05bcbb0ff3a4d603d

★2 「なぜ教員志望の学生は減少しているのか?学生アンケート結果から」

https://news.yahoo.co.jp/byline/murohashiyuki/20220417-00291333

★3 「教員給与見直しへ議論開始 文科省の有識者会議が初会合」

https://www.sankei.com/article/20221220-AL7Y2D6ZB5MFTDQROJSAEGBQNA/

★4 藤拓弘(とう たくひろ)「こんな先生に習ってみたい!選ばれるピアノの先生が当たり前のように大切にする「5つのこと」」 https://www.pianoconsul.com/1968/

★5  アンバー・ハーパー (著)飯村寧史 /吉田新一郎(翻訳) (2022)『教師の生き方、今こそチェック!-あなたが変われば学校が変わる』新評論, p.56.

https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784794812193

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