2023年7月16日日曜日

教え方の「これまでのアプローチ」と「これから求められるアプローチ」 (+この転換を実現する本の紹介)

 姉妹ブログで、WW/RW便り: 従来のアプローチ と 求められるアプローチ (wwletter.blogspot.com)を紹介しましたが、今回はそれに寄せられた何人かの先生からのリストを紹介する続編です。

 まずは、オリジナル版の修正案は、以下の通りです。(少しは、分かりやすくなりましたか?)

従来のアプローチ          求められるアプローチ        

与えられた内容を詰め込む      生徒のニーズや興味関心を引き出す

教師の敷いた路線で教える      教師と生徒は学びのパートナーである

内容を伝える/話す/板書する    生徒相互の学び合いを促進する

正解だけを求め、引き出そうとする  生徒の思考の表出をサポートする

 

 次に、紹介者(吉田)の追加リストです。


★おとなしく聞いて、暗記するのでは(テストのために「覚えては忘れる」の繰り返しでは)、楽しいはずがない! これでは、4C(クリティカルな思考、創造力、協働する力、コミュニケーション力)も、SELhttp://wwletter.blogspot.com/2023/02/sel.htmlも、「思考の習慣」https://bit.ly/3XZmfbhも、身につく(練習できる)はずはない!

それに対して、右側は、自分で考え、クラスメイトと話し合い、成果物をつくり出し、発表の対象からのフィードバックをもらい、有能感を味わえるので楽しいし、4CSELも、思考の習慣も身につく/練習できる教え方・学び方のアプローチ。


◆北元先生(兵庫県)の追加リスト:


◆大久保先生(千葉県)の追加リスト:


◆自分の小学4年生の子どもの授業参観をして感じたことをまとめる形で書き出してくれた飯村先生(宮城県)の追加リスト:

従来のアプローチ              求められるアプローチ          

生徒は、教師に言われた通りにやる。(実態は、やる振りをしている子の方が多い、あるいはよくわからずにただやっている)

教師は、生徒のニーズや興味関心をいかして課題の選択肢を提示する。生徒がそこから自分の裁量でやることを選ぶ。(『ようこそ、一人ひとりをいかす教室へ』『教育のプロがすすめる選択する学び』『一斉授業をハックする』『「考える力」はこうしてつける』などを参照。)

教師が自分の都合で活動をコントロールする。(生徒の進み具合は気にせず、授業時間のみを気にする)

教師が、生徒と相談しながら、全体の時間を管理している。生徒は、活動の進め方を教師と相談しながら調整し、納得のいく活動を継続的に行う。

教科書やワーク、ワークシート、ドリルの空欄を埋める。

答えを求めるだけでなく、求め方や、その答えと自分の生活との関わりがわかるような活動になっている。

終わった人は、次の先生の指示が出るまで静かに待つ。

終わった人は、次の自分の課題を自分で決められる。(あるいは、選択肢が提示されている)

 

 さて、あなたはどのような項目や内容を付け加えますか?

 

 最後に夏休みに読める「これまで」から「これから」に移行するのに役立つ本を紹介します。自分の興味関心に合わせて、1~2冊を選んで読むところからスタートしてください。(すべては、つながっています!)

●全体的に参考になる本

・『みんな羽ばたいて』キャロル・トムリンソン著、新評論、2023年

・『学びの中心はやっぱり生徒だ!』ベナ・キャリックほか著、新評論、2023年

・『ようこそ、一人ひとりをいかす教室へ』キャロル・トムリンソン著、北大路書房、2017年

・『あなたの授業力はどのくらい?』ジェフ・マーシャル著、教育開発研究所、2022年

・『効果10倍の学びの技法』吉田新一郎+岩瀬直樹著、PHP研究所、2007年(『シンプルな方法で学校は変わる』増補改訂版、みくに出版、2019年)

●教科別

〇国語

・『イン・ザ・ミドル』ナンシー・アトウェル著、三省堂、2018年

・『国語の未来は「本づくり」』ピーター・ジョンストンほか著、新評論、2021年 +

https://docs.google.com/spreadsheets/d/1KXuWtBc4kl6jRr2KGwnqPAH1vSryYkM7qNXd0ArKpYU/edit#gid=1042705275

〇算数・数学

・『教科書では学べない数学的思考』ジョン・メイソンほか著、新評論、2019年

〇社会科

・『社会科ワークショップ』冨田明広ほか著、新評論、2021年

・『歴史をする』リンダ・レヴィスティックほか著、新評論、2021年

〇理科

・『だれもが科学者になれる!』チャールズ・ピアス著、新評論、2020年

●探究/プロジェクト学習/PBL

・『あなたの授業が子どもと世界を変える』ジョン・スペンサーほか著、新評論、2020年

・『子どもの誇りに灯をともす』ロン・バーガー著、英治出版、2023年

・『プロジェクト学習とは』スージー・ボスほか著、新評論、2021年

・『PBL~学びの可能性をひらく授業づくり』L.トープほか著、北大路書房、2017年

・『たった一つを変えるだけ』ダン・ロススタインほか著、新評論、2015年

●生徒が(教師の言うことを聞くだけ/するだけではなく)学びに熱中する授業

・『「学びの責任」は誰にあるのか』ダグラス・フィッシャーほか著、新評論、2017年

・『教育のプロがすすめる選択する学び』マイク・エンダーソン著、新評論、2019年

・『「おさるのジョージ」を教室で実現 ~ 好奇心を呼び起こせ!』ウェンディ―・オストロフ著、新評論、2020年

・『退屈な授業をぶっ飛ばせ!』マーサ・ラッシュ著、新評論、2020年

・『一斉授業をハックする』スター・サックシュタインほか著、新評論、2022年

・『教科書をハックする』リリア・レント著、新評論、2020年

●生徒が主体的に対話する(生徒の声をいかす)授業

・『最高の授業~スパイダー討論が教室を変える』アレキシス・ウィギンズ著、新評論、2018年

・『学習会話を育む』ジェフ・ズィヤーズ著、新評論、2021年

・『私にも言いたいことがあります!』デイヴィッド・ブース著、新評論、2021年

●評価から授業を変える

・『聞くことから始めよう!~やる気を引き出し、意欲を高める評価』マイロン・デューク著、さくら社、2023年

・『成績だけが評価じゃない~感情と社会性を育む(SELための評価)スター・サックシュタイン著、新評論、2023年

・『成績をハックする』スター・サックシュタイン著、新評論、2018年

・『一人ひとりをいかす評価』キャロル・トムリンソンほか著、北大路書房、2018年

SEL(感情と社会性の学び)と教科指導の統合

・『学びは、すべてSEL』ナンシー・フレイほか著、新評論、2023年

・『SELを成功に導くための5つの要素』ローラ・ウィーヴァ―ほか著、新評論、2023年

・『感情と社会性を育む学び(SEL)』マリリー・スプレンガ―著、新評論、2022年

●学校や教育委員会レベルでの転換

・『教育のプロがすすめるイノベーション』ジョージ・クーロス著、新評論、2019年

・『一人ひとりを大切にする学校』デニス・リットキー著、築地書館、2022年

・『「学校」をハックする』マーク・バーンズほか著、新評論、2020年

・『学校のリーダーシップをハックする』ジョー・サンフェリポほか著、新評論、2022年

●学級経営と生徒指導

・『「居場所」のある学級・学校づくり』ローリー・バロンほか著、新評論、2022年

・『生徒指導をハックする~育ちあうコミュニティーをつくる「関係修復のアプローチ」』ネイサン・メイナードほか著、新評論、2020年

教員研修~まずは教師が「これから求められている学び」を体験する

・『「学び」で組織は成長する』吉田新一郎、光文社新書、2006年

・『効果10倍の教える技術』吉田新一郎、PHP新書、2006年

下の2冊を教員版に置き換えると、理想的な研修が実現するはずです。

・『学びの中心はやっぱり生徒だ!』ベナ・キャリックほか著、新評論、2023年

・『ようこそ、一人ひとりをいかす教室へ』キャロル・トムリンソン著、北大路書房、2017年

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