2022年10月9日日曜日

認知心理学者が教える最適の2つの学習法「分ける」と「思い出す」

授業や学習場面において、どのような学び方が最も効果的な方法を理解し、使いこなせていますか。それにはあまりにも多くの情報があり、一体どれを選んで良いのかときに迷ってしまいませんか。

 

私たち教員は勘や経験で教育方法を選んでしまい、残念ながら教育実践が研究成果に基づいていないことが多々あります。今回は、ヤナ ワインスタイン (), & 4 その他『認知心理学者が教える最適の学習法ビジュアルガイドブック』(2022 東京書籍)より研究に裏打ちされた最適な2つの学習法を紹介します。この本はビジュアルガイドブックとあるだけに、視覚的にもわかりやすく整理されていますのでおすすめです。

 



心理学の研究からわかった最も支持されている学習方法は「学習時間の分散」と「検索練習」の2つあります。「学習時間の分散」とは試験前の詰め込み勉強ではなく学習時間を分けて勉強する方法です。また、「検索練習」は記憶から情報を思い出す方法であり、生徒が自分自身にテストをし、記憶を取り出し、確認をします。これは、教科書を読み直すよりもはるかに学習効果が高い方法です。

 

「学習の分散」は、学期を通して、または1コマの授業で、学んだことを再確認させたい時に効果を発揮します。例えば、宿題を遅らせて出して、少し前に教えた学習内容について生徒が復習できるようにしたり、簡単な復習を別の授業で扱ったりするもします。また、いつ何を勉強するのか計画するときに役立つ方法は、インターリーブ(交互配置)と呼ばれ、学ぼうとしている学習内容をいくつか選び、それらを混ぜ合わせます。学習する内容を切り替えたり、学習する順番を変えたりすると様々な観点を混ぜ合わせて学習することができるからです。

 

「検索練習」は教室のどのような活動にも取り入れることができます。重要な事は確実に情報を思い出せるようにすることです。なぜなら、記憶は思い出すたびに再構築、強化されます。生徒がテストに答える時、単に記憶を確認しているのではなく、記憶を強化しているのです。例えば、定期試験や小テストを頻繁に実施すると、検索練習を促進することができます。また、記憶を頼りに覚えていること全てを白紙に書き出したり、記憶を頼りコンセプトマップを作ったりすることも効果的で、記憶から情報を思い出す活動はすべての検索型の学習です。

 

これ以外にも、精緻化(なぜ、どのように、質問したり、説明する方法)、具体的(抽象的な概念を学ぶ際には、具体例を使って説明させる方法)、ディアルコーディング(言葉と図を組みあせる方)、なども挙げられます。あり、11章では教師向けに教室実践の方法も紹介されていますので、参考にしたいことばかりでした。

 



 本書P.149より

 

このようにエビデンスのある学習法を用いるときは、すぐに全員にあてはまるものとは、限りません。生徒が身につけるには時間や多くの支援が必要なこともあるからです。しかし、こういった知見を有効に使って、生徒の学びを効果的にすることができます。今年度もいよいよ半年が過ぎようとしています。学びとじっくり、向き合うためのたしなみとして、「学習時間の分散」「検索練習」を活用してみませんか。

 

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