2021年10月30日土曜日

大学の地域連携・地域貢献

 

先日、日本経済新聞を読んでいたら、大学と自治体の間で「包括連携協定」を結ぶ事例が増えているという記事がありました。そこで、ネット検索をしてみると、次のような項目が検索上位にありました。

【横浜国立大学・地域連携推進機構】「企業や自治体との包括連携協定について」 

包括連携協定は、地域が抱える社会課題に対して、私たち教育研究機関と自治体や民間企業がそれぞれの強みを活かし、協力し合うことで課題解決に向き合うための枠組みです。人的・知的資源の交流と活用を図り、多様な要請に応えながら大学の知の向上をめざしています。それぞれ地域にとっての適切な役割を模索しながら、真剣に課題に向き合っています。 

 大学も少子化の中で生き残るためにいろいろ大変です。かつての「象牙の塔」などと言われた時代が懐かしくもなります。「横浜国立大学」の連携事例が紹介されていました。

★南足柄市と横浜国立大学の連携事例(横浜国立大学ホームページより)

フィールドワークをビジネスプランにつなげる

その連携協定の事業の一つが集中講義「実践地域と起業」です。この講義では学生が2泊3日間南足柄市に滞在し、講義やグループワークを通して、同市の課題の解決や魅力の発信を起業(ビジネスプラン)という形で提案するものです。参加した学生は18名。留学生2名、地元出身者1名を含む、幅広い学年・学部の学生が集まりました。

1日目。学生たちは市役所で講義を受けた後、大雄山駅前において2時間ほどフィールドワークを行いました。駅前の雰囲気を肌で感じた後、バスに乗り込み、主要な企業の工場や物産館、事業所、観光スポットなどを見学。宿泊先の最乗寺では、夜と翌朝4時半から1時間ずつ座禅を行いました。学生には大変興味深い体験となったのではないでしょうか。

これは、小・中・高校の総合的な学習の時間にも当てはまることです。学習内容に関連する様々な資料(図書資料、写真、動画など)や場合によっては専門家の話を聞いたり、モノづくり活動を行ったりすることもあるでしょう。また、必要なら校外に出かけていき、フィールドワークを行うなど、立体的な授業を構成することが可能です。

また、日本経済新聞1020日付では、「地域貢献 地方国立大が躍進」の記事が掲載されていました。これは同新聞社が全国の761国公私立大学を対象に「地域貢献度」調査を実施した結果に基づいたものです。「地域経済分析システムを講義で活用」「大学発ベンチャーを支援する制度・取組」などの評価項目に基づいて点数化したようです。

1位が名古屋市立大で、同大学の郡健二郎学長は「公立大学ゆえ、名古屋市民に認められないと、大学として存在していく意味はない」と言い切っているようです。

「開かれた学校づくり」は小・中・高校でしばらく前から盛んに言われてきましたが、大学においても地域に開くことが当たり前になりつつあるようです。「学びの原則」の一つである「協働する学び」の視点からも、ますます教室の外との連携・協力の機会は増えていくものと思います。 

1029日付の日本経済新聞1面には、連載記事「教育岩盤」において、「新陳代謝へ脱・前例主義」と大きな見出しがありました。この記事のサブタイトルにある「変化を嫌う」はまさにこの数十年間、わが国の教育現場を覆ってきた空気です。

「脱・前例主義」で豊かな発想で、大胆に切り込んでいく実践が増えることを期待します。

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