2021年8月1日日曜日

「学校リーダーのあるべき姿:リード・ラーナー」

学校が学び続ける組織であるために、学校リーダーはどのような存在であるべきなのでしょうか。

ここ数回連続で紹介している『学校リーダーシップをハックする』★1に、教師が校長と聞いて連想する言葉をあげてもらった結果が紹介されています。それらは、「上司」や「規律を定める人」、「監督者」、「意思決定を行う人」、「マネジャー(管理職)」、「評価者」、「関係が薄い人」、「孤立している人」となっています(p. 17)。また、学校リーダーに関する別の本には、「生徒の規律や文書の締め切りばかりを気にかけている校長は、カリキュラムや授業のことは専門外だと考えているふしがある。」(p.80)★2 という一節があります。思い当たるフシが大いにあって吹き出してしまいました。
 
いずれにしても、多くの人が、校長は、組織を監督し、校長室にこもって問題の処理や文書の管理をする「管理者」であると考えていることが分かります(おそらく洋の東西を問わずだろうと思います)。

では、学校リーダーのあるべき姿はどのようなものなのでしょうか。

『学校リーダーシップをハックする』が、同書の第1番目のハックとして掲げているのは、「校長は、もっと教職員の中に分け入り、学び続けるモデルとしての姿を見せよう("Hack 1 Be Present and Engaged"」です。

校長は、学校コミュニティーとのかかわりをほとんどもたない「管理職」から、「今、ここ」に集中し、学校コミュニティーのあらゆる面に、夢中でかかわり、教え方に関する継続的な改善を行うリーダーになるべきであると訴えているのです。管理職という肩書きから脱却し、子どもにとって最善の利益になることを行い、誰よりも先駆けて学ぶ学習者になる、つまり、「リード・ラーナー」を目指せという提案です。

同書の「あなたが明日にでもできること」というコラムに、リード・ラーナーを目指す人が、まず最初に取り組めることが紹介されています(p.19-22)。

(1)ひたすら聴く
 子どもや教職員、保護者、秘書、同僚、理事などに耳を傾ける。

(2)質問をする
 教師や生徒、保護者に質問を送ることで、おおよその状況を知ることができる。

(3)生徒と一緒に昼食をとる時間をつくる
 計画的に生徒と交流することで、ほかの情報源からは得られない重要な気づきを得ることができる。

(4)目に見える形でお祝いする
 学校で起きている良いこと、すばらしいことをSNSなどを通して紹介する。できれば一日一回投稿することを推奨しています。

(5)校長室から出る
 「もし、あなたが単なる管理職からリード・ラーナーへと生まれ変わるつもりならば、あなたは校長室から出なければなりません。」と断言しています。

どれも、すぐにでも取り組めそうなことですね。「管理者」から「リード・ラーナー」へ。学校が変わる第一歩はこの周辺にありそうな気がします。

同書に引用されているアルベルト・シュバイツァーの言葉です:

「人を動かすにはモデルを示すことが大切だ。というより、それしかない。」


★1近日発刊予定 『学校リーダーシップをハックする』ハック 1 「校長は、もっと教職員の中に分け入り、学び続けるモデルとしての姿を見せよう」

★2 Thomas R. Hoerr (2005) The Art of School Leadership, ASCD.

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