久しぶりに『「学び」で組織は成長する』(光文社新書2006)を読み返しました。
かつて、中学校教員時代、校内研究のやり方を模索していた時にとても参考になった本です。この中で紹介されている「オフサイト・ミーティング」で思い出すことがあります。それは、30代前半のころに勤務していた「子ども科学館」でのミーティングです。
当時、企画普及課という部署に所属しており、仕事の一つが展示場での解説を行う解説員の人たちの研修業務でした。解説員と言っても、ほとんどの人が文系の人で、どちらかというと小・中・高校時代に理科が苦手な人も結構いたのです。
その人たちにどうやって科学に興味をもってもらうかをいろいろと考えたうえで、最終的にたどり着いたのが「オフサイト・ミーティング」でした。
会合は月1回、勤務後に科学館近くのレストランの一部屋を借り切って定期的に行いました。そのとき、何もなくては話もできないので、とりあえず『量子力学の冒険』(ヒッポファミリークラブ)という本を話の種として選びました。これは理系の人でなくても面白く読める本だと思ったからです。
始まってみると、やはりだれもが楽しく読める内容でしたので、話が盛り上がりました。毎回、量子力学だけではなく、物理や生物などにも話が広がりました。時々、知り合いの大学教員にもゲストとして入ってもらって、専門的な話をわかりやすく解説してもらいました。結局、2年ほどこの会合は続きました。
残念ながら、私が中学校の現場に戻ることになり、そこでミーティングも終わりになりましたが、毎回10名前後の職員が参加し、今でも再会するとそのときの話で盛り上がるほど、各自の印象に残る自主研修でした。7月12日付の「日本教育新聞」には次のような記事が一面に掲載されていました。
教員免許更新制について、文科省が現職教員を対象にしたアンケート調査の結果を公表した。更新講習に総合的に満足感を示したのは2割にとどまり、否定的な回答が6割を占めた。受講内容が教育現場で役立っていると答えたのも3割程度にとどまるなど、これまで大学を通じて文科省が把握していた結果とは異なる結果が浮き彫りになった。
教員研修の一環として始められた「教員免許更新制」もその成り立ちからして、現場の教員にとっては迷惑な話でした。指導する側の大学教員にとっても、決して歓迎すべきものでもありません。今回の結果が更新制の廃止につながるかというとどうも見通しは暗いようです。与党の文教族の一部が廃止には反対していることもあり、関係する当事者たちが望まないことがしばらく続いていくのではないでしょうか。
これは以前からの私の持論なのですが、教員研修は校内もしくは近隣の学校でやることが一番です。当事者のモチベーションを考えても、時間的なことを考慮しても、小グループを基本とした学びが多くの教員にとって望ましいものだと思います。生徒の自立を言う前に、教師自身の自立が大切です。
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