執筆者の一人の西田雅史先生が、紹介文を書いてくれました。
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子どもの頃、社会科の授業が大嫌いでした。そんな私が教師になって最初に行っていた社会科の授業は「教科書をなぞる」というものでした。黒板に授業の目的を書く、教科書を生徒に順番に読ませる、教室全体に向けて発問する、発問の意味が分かった一部の子どもだけが参加する――こんな授業を繰り返していました。しかし、本書で紹介する「社会科ワークショップ」が、社会科に対する見方を180度変えることになりました…
上記は「社会科ワークショップ〜自立した学び手を育てる教え方・学び方」の新刊案内の冒頭部分です。現在私は4年生の担任で社会科ワークショップを実践していますが、4月当初、「社会いやだなあ」と言っていた女の子が、「先生!たんきゅうはまだですか!」と言ってくるほどです。また、毎時間Google formでアンケートを作成し、子どもたちに放課後に回答してもらっていますが、高い割合で子どもたちが「たんきゅう」を楽しんでいることもわかります。私だけでなく子どもたちも社会科に対する見方が変わってきているのです。
これまで実践してきた中で子どもたちが「探究が楽しい!」と感じていることが多かったのですが、その要因は大きく2つだと私は考えています。
①自分でテーマを決める楽しさ
これまでの社会科の学習ではクラス共通の学習課題に取り組んできた子どもたち。それが自分の興味関心に合えばいいのですが、全ての子どもたちがそうなるわけではありません。一方で社会科ワークショップでは学習のゴールは子どもたちに共通としてあるものの、そのゴールまでの道筋はバラバラであっていいという考え方のもと子どもたちは学習を進めています。子どもたちは自分で選ぶことができると知るとその時点でモチベーションがぐぐぐっと上がるものです。
例えば私が今年度実践している4年生の社会科「お水ハンター〜安全で安心なお水のヒミツを調査せよ〜」では、学習のゴールを「安全で安心した水を安定して供給できるシステムを理解すること」としていますが、子どもたちは「浄水場」「下水道」「ダム」の中から一つテーマを選び、それらのシステムについて調べています。最終的に3つのテーマ同士が集まって発表し合うので、子どもたちは扱っていないテーマについても理解することができます。
②共同で考えを作り出すことの楽しさ
本書の「学習コミュニティーを育てる」の章にも登場しますが、子どもたちは社会科の学習を通して自分の考えをもち、それを発信し、友達と議論するなかで新たな考えを生みだしていきます。5年生の社会科ワークショップの工業ユニットで自動車会社を設立したときには、自動車工場を国内、国外のどこに作るかで2つの会社が議論をかわす場面がありました。
わいわい盛り上がって楽しいの「fun」ではなく、知的好奇心がくすぐられ、興味関心が湧いて楽しい、という意味の「interesting」の要素をこのとき子どもたちから感じたのを今でも覚えています。子どもたちはこのようなことを繰り返しながら主体的に参加するコミュニティーをクラス内につくっていきます。社会科ワークショップが行われている教室は、ある意味「理想の社会」の縮図になっているとも言えます。
また、社会科ワークショップでは、教師の子どもたちとのかかわり方も、これまでの授業とはまったく変わってきます。教壇に立って、子どもたちに向けて一斉に指示を出すといった授業を繰り返すのではなく、一人ひとりに対してカスタマイズされた支援を行っていきます。本書では、ライブ感豊かにその様子を紹介していますが、これこそが「自立した学び手」を育てる一助となっています。
最後になりましたが、私は子どもを変えたいのなら、まずは教師が変わらなければいけないと考えています。変化することを恐れている場合ではありません。そのための一助に「社会科ワークショップ〜自立した学び手を育てる教え方・学び方〜」がなることができれば幸いです。
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