この2月は都道府県・市町村などの自治体の次年度予算案が発表される時期です。
私の住む県の20212年度予算案が発表されました。毎年、教育関連の予算がどうなっているかを必ず見ているのですが、相変わらずだと思うことばかりです。
「学力向上」の柱の一つとして、「学力向上コーディネーター派遣費」という項目がありました。「学力定着に課題を抱える市町を対象に学力向上コーディネーターを派遣」がその内容です。退職校長を中心としたコーディネーターを対象校に派遣するということですが、年に何回そのコーディネーターが対象校に行くのでしょうか。自分たちの「やっている感」を出すために、言わば「アリバイづくり」のための事業だとしたら無駄もいいところです。
このようなやり方はもう40年以上続いています。そもそも文科省が「◎◎研究指定校事業」「〇〇推進研究事業」などと銘打って施策を進めている以上、それをただ真似しているのが各自治体の教育施策なのかもしれません。発想の貧困さを通り越して、呆れるばかりです。
先ほどの話で言えば「コーディネーター派遣費」は年間3,400万円だそうです。私の住む県の公立中学校区は150余ですから、その三分の一の50校区に60万円ずつ補助金として支出してあげたほうが、よほど学校としては有難い予算になるはずです。
かつて中学校の校長をしていた経験から言えば、学校では独自に使えるお金などほとんどないのが実情です。校内研修で図書を買いたくても買えないし、民間主催の研修会に職員を派遣したくても、出張旅費もぎりぎりしか配当されませんから、そんな余裕はありません。オンライン研修会ですべて賄えるはずもないと思いますが。
全国でも首長と議会に教育に対する理解のある自治体の教育センターが、各学校のニーズに応じた研修や出前相談に乗ってくれたりするところもあるようですが、まだまだそのようなところは少数です。
教員が学び続けられるような体制や文化ができれば、それは自ずと子どもたちへよい影響を与えることになるでしょう。そのために必要なものの一つが「研修」であると思いますが、それを支えるのは校長の学校経営における「方向づけ」です。
教員も子どもも学ぶことを最優先するという重点主義が求められます。コロナ禍により、児童・生徒の健康管理という新たな命題が課せられ、英語教育やGIGAスクール構想と次から次に解決すべき課題が押し寄せる学校現場にあっては、すべての課題に同等に向き合うことなどできるはずもありません。これだけは必ず達成するという重点主義でいかないと「働き方改革の推進」などいつまで経っても実現できません。
現在、校長の職にある人も、将来そうなりたい人もぜひ「優先順位」を考えながら仕事を進めてほしいと思います。校長が覚悟を決めれば、相当のことができるはずです。教育委員会に忖度する必要などどこにもありません。「学ぶことを最優先する」という学校文化をぜひ創り上げてほしいと思います。それには、まず校長自ら「学ぶ姿勢」を学校全体に示し、みんなが学び続けられる仕組みを構築してほしいものです。そのための方策は、このブログで紹介しているハックシリーズなどの本を参考にして、自分の学校に合ったやり方を見つけて、ぜひ進めていただきたいと思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿