2020年4月11日土曜日

オンライン学習だけがすべてじゃない! 子どもに創造的休暇を!


多くの学校が5月までの休校に向け、差し迫った課題準備に戸惑っていることでしょう。この休校中、その学習をカバーしてくれるだろうオンラインツールには、大きな可能性があります。しかし、多くの教師たちにとっては、使い慣れていないデジタル機器を活用しなければならなく、オンライン授業の準備を要請され不安や葛藤の中、その勢いに流されているのではないでしょうか。
確かに、この社会状況下では、なにもやらないよりはいいでしょう。しかし、本当に、このオンライン学習だけが今できる唯一の学習方法なのでしょうか? 子どもの学習と心の育ちを考えると、子どもたちのスクリーンタイムを助長させることを、私たち教師が推進することなのでしょうか? 
そこで、この学校閉鎖中を「創造的休暇」として捉えてみましょう。
13世紀に活躍したニュートンは、当時、大流行していたペストにより、実家のあるリンカーンシャーへ戻り、2年間そこで過ごしました。20代半ば、その後の三大発見である光学プリズム・微分積分・万有引力の基礎理論を築きあげました。ニュートンは当時を振り返り、人生の中で一番充実していた創造的休暇だったと話しています。
この休校中にまとめてとれる時間を、これまで教室でしかできなかった学びとは異なるすばらしい学習を推進できると考えられれば、素敵じゃないでしょうか? そしてこの期間中は、これまで学校で学んできた学習スキルを活かし、自主学習するチャンスでもあります。それは、きっと子どもたちのストレスをも緩和するはずです。
そのための解決方法が子ども向けに5つ紹介されています★。今後の学習課題作りの参考にしてみてください。
1 自分にとって重要なスキルを練習し、記録しよう。
そのスキルがなぜ重要なのか、その練習によってどのように成長したのか、音声、動画、テキストでふりかえってみましょう。 
2 好奇心に夢中になろう。
自分が学びたいと思っていることはありますか? 教師は、子どもが好奇心を発揮する学習に向け、資料や研究方法をどのように提供するのか、調整します。★★。
3 好きなものをものづくりしよう。
動画、歌、美術作品、ツリーハウス、車の改造、アニメや漫画、衣服、料理レシピ、豪華な食事やデザート、その他何でも構いません。作成したものについてふり返りを書いてみます。そこに、これまで学んできた学習スキルがどのように使われているのか考えてみます★★★。
4 自分の住んでいる地域をよりよくする方法を考えよう。
住んでいる役所に連絡し、安全で健康的なボランティア活動を見つけてみましょう。何をしたのか? なぜ重要なのか? どんな学習スキルをつかったのか? ふりかえりをします。
5 自然の中で観察記録をしよう。
観察する植物を決めて、毎日、最低でも20分からその場所で観察します。見たこと、聞いたこと、感じたこと、嗅いだことなど、観察したことを日記に書いてみましょう。もしかしたら鳥や昆虫もやってくるかもしれませんね。
いかがですか? これらの課題を教師が一度回収して、個々の活動を学級通信にまとめて各家庭に送ると、子どもたちの課題の共有も可能ですね。一方、これらのような方法だけでは、この休校の間にやるべきであった全ての学習をカバーすることはできません。しかし、子どもたちはオンライン授業のただの受け手ではありません。自分なりの世界と興味を持って生きています。この学習への情熱をもち、自然とつながって生きようとすることは、このパンデミックの恐怖から、一歩でも前を向かせてくれるのではないでしょうか。
今回、紹介した子どもの学びを奨励する学習方法について、スター・サックシュタイン著、吉田新一郎訳「宿題をハックする: 学校外でも学びを促進する10の方法」の4章〜6章が大変、参考になります★★★★。
4章 生徒のニーズにあわせた特別仕様にするー課題や時間を柔軟に
5章 生徒に学びを奨励するーイノベーションと創造性を促進するために
6章 授業の前に好奇心を刺激するー学びへの興味関心を生み出すつながりをつくる
また、今後、圧力によりやむを得ずオンライン学習を推進せざるをえない際には、デジタルツールを活用して、どのように子どもの学習をサポートしていけばいいのか、具体的な実践も紹介され、この時期に必要なヒントが得られるはずです。

7章 デジタルでやり取りする場を活用するー学びのためにソーシャルメディアを利用する
今、私たちはどんな学びを子どもたちに投げかけ、提供できるのか、今、一度ふりかえってみませんか?
Kate Ehrenfeld Gardoqui「Remember, Online Learning Isn't the Only Way to Learn Remotely」Education weekより
★★
これは、まさに探究学習そのもの。ないし「契約」という学習方法です。いい最終成果物がつくり出せるように、教師や親はカンファランスでサポートしましょう!
★★★
海外では、教室の中だけではなく、いつでもどこでも使える転移可能なスキル(日本の教育でいう思考判断の考え方に近いもの)が重視さいれています。そのため、この休校中は、これまで学んだことを個々が活かすチャンスと捉えられます。
★★★★
新刊案内『宿題をハックする ~ 学校外でも学びを促進する10の方法』

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