2018年12月2日日曜日

どうすればいい!危機にある教師の自主的勉強会

私にとって、自主的な勉強会(様々な呼び名があるようで、英語では、teacher support groups, study groups, teacher networks, learning circlelsなどと呼ばれているようです) は、気の合う仲間で集まって、輪読会をしたり、授業について語り合ったり、時に、先輩と衝突したり、とても刺激的で、楽しみのある場所でした。公的な研修と違い、自分たちでやりたいことを選び、自分たちで運営していく。とてもスリリングで、いつも集まりの日が待ち遠しかったことを記憶しています。

ここ数年、教員が主体的に集まる勉強会やサークルが成立しずらくなっていると感じます。皆さんの周りではどうでしょうか?業務の多忙化により精神的な余裕がなくなっていることや、週末の部活動の影響(これは改善の途上にあると言えるかもしれません)、管理主義の強まりや義務的な研修の増加(それによる自主的な研修を避ける傾向)など、様々な要因が背景にあると思われます。働き方改革が叫ばれる中で、週末に集まるなどもってのほかと思っている人もいるかもしれません(自分で選んで集まっているのだから関係ないと思うのですが)。職場を離れてまでも、仕事について熱く語り合うといったことは、時代遅れになってしまったのでしょうか。

自主的(ボランタリー)な集まりであるがゆえの、良さも限界もあると思いますが、今一度、そのような活動の価値を再認識する必要があるのではないかと思います。与えられる研修、与えられる業務だけで、満足していいのか。Richard and Farrel(2005)によれば、このような主体的な集まりは、プロの教師コミュニティーとして機能するようになり、教師としての知識や探究の妥当性を検証する場を提供してれると述べています(p.51)。

うまく行くグループもありますし、途中で空中分解してしまうグループもあります。教師の自主的な勉強会は、どうつくり、どう運営していけばいいのか、Richard and Farrel(2005)を参考に、整理してみます(pp.52-67, 同書では teacher support groupと呼んでいます)。

◉目的や意義
・授業や指導計画の検証、振り返り
・教材開発
・新しい指導法を試す。
・授業を相互観察する。(ビデオ視聴含む)
・雑誌などに共同で投稿する。
・研究プロジェクトを実施する。
・セミナーやワークショップを開催する。
・気づきが生まれる。
・仕事への動機付けが高まる、互いにエンパワーされる。
・協働を生む(教師は教室で一人で働く時間が大半)。
・成果を学校に還元することで、学校改革のイニシアティブを取る。
・成果は生徒に還元される。*  

◉効果的なグループ活動のために
☆グループサイズ
5人から8人が理想的。これを超えると、聞くだけ、参加するだけのメンバーが生まれる。大人数になったら、役割別の小グループをつくる方が良い。

☆役割
リーダーを置くかどうかはグループ次第だが、ファシリテータ役がいる方が、うまくいくことが多い。**

☆グループの目標
グループができた時は、一般的な目標しかない場合が多い。初期の集まりで、全員で話し合い、より明確で具体的な目標を設定する。メンバーが知り合って間もないこともあるので、最初は比較的短期間で達成しやすい目標を設定して取り組むことが成功の秘訣。その後、グループの取り組みを検証し、新しい、長期的な目標設定をする。

☆うまくいかなくなった時
メンバーのコミットメントがあり、良い聞き手であろうとする姿勢をもっているうちは、問題の解決は比較的容易。以下のようなことに留意したい:

1)不平不満(特に個人に対する)に時間を費やさない。目標や成果に時間を費やす。
2)支援的フィードバックを心がける。
3)セラピーが目的ではない(治療的行為は専門家に任せるべき)。
4)おしゃべりの時間ではなく、対話の時間であると捉えておく。
5)実践的であるべき(新しい指導法について議論するだけでなく、実際に試してみることを重視する。)。
6)課題解決に取り組む仲間に対する支援や激励を重視する。
 
忙しくても、私用があっても、なんとかやりくりをして、必ず駆けつけたい、そのような学びの場、学ぶ仲間を持ちたいと思いませんか。


*グループの活動自体が目的化してしまい、これを忘れがちなることはよく起こるものです。私たちのミッションは何だったのか、常に振り返りながら進めることが必要だと言えます。また、この観点で、今ある研修を見直してみる必要もありそうです。

**ファシリテータへの依存は、子どもの教師への依存と同じになってしまうので、ファシリテータなしの方が良いという考え方もあるようです。ウイギンスさんの『最高の授業』で紹介されているスパイダー討論では、教師の介入を否定しています。

[参考文献]
Jack Richards and Thomas Farrell (2005) Professional Development for Language Teachers, Cambridge.

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