2018年10月7日日曜日

書くことの力 ー 一人でのジャーナリングから仲間との豊かな学びへー

もうかれこれ5年近く、授業についてのジャーナルを書いています。ジャーナリングとは、日記のようなものですが、自分自身が経験していることについて、個人的な反応、疑問、気持ち、知識などを記録するものをいいます(吉田,2006他)。ジャーナルを書くことで、自分自身の実践を振り返ることができ、改善につながるヒントが得られると言われています(Richards & Farrell, 2005)。

私のジャーナリングは、一人でやっているのではありません。英語の授業に、ライティング・ワークショップ、リーディング・ワークショップを応用できないかと考えている仲間と協働でやっている、ブログを使ったオンラインでのジャーナリングです。各自のブログに、授業についてジャーナルを書き、それに対して仲間がコメントを書き込んでいくという流れで進めています。ブログは非公開にしてあり、メンバー以外は読むことができません。また、月1回、一歩後ろに引いて自分たちの実践を眺めるために、ジャーナリングの活動自体の振り返りも行なっています(*振り返りの質問)。さらに、年に2回オフライン・ミーティングを開催しており、オンラインで語りつくせなかったところや今後の進め方について直接話し合う機会をもっています。

書き続けることは、決して楽ではありません。時々、スキップしていまいます。しかし、私たちの仲間が共通して感じていることは、書かなければ得られなかったこと、書き続けなければ得られなかったことがあるということです。ブログでのジャーナリングなしには、今の実践は考えられないとまで思っています。ある調査によれば、ジャーナリングが有効だと感じたのは教師は96%で、ジャーナルを書くことを楽しめなかったとする教師はたったの4%だったそうです(Richards & Farrell, 2005,p.70)。

実践をして、書く。たったこれだけのシンプルな活動ですが、書くという行為の中に、深い思索や省察を生み出す力があるようです。

仲間との実践を踏まえて、ジャーナルを書くことのメリットを考えてみます:

1 授業について深く考えざるをえなくなる。(授業の後に書くことがなければ、すべてはそのまま流れてしまっていったはずです。ジャーナルを書くためには、自分自身の実践を振り返り、そこから何か意味を見出す必要があります。)

2 記録が残る。(ジャーナルを書いていなければ、忘れ去られてしまった大切な気づき、発見、そして、失敗がたくさんあったはずです。「書いておいてよかった!」と思うことがよくあります。)

3 無意識のパターンに気づく。(長く続けていると、繰り返し出てくるパターンや無意識の習慣が浮き彫りになります。そこには、改善や成長のチャンンスがあります。)

4 グッド・プラクティスが浮き彫りになってくる。(これも一定期間続けることのメリットです。授業というものは、複雑な要素がからみあったものですが、長期間のジャーナルには良いものが残っていきます。)

5 仲間のコメントで、気付くことができたり、勇気付けられる。(一人で気づくことができないことはたくさんあります。反応をもらえるだけでうれしいものです。)

6 自分自身の感情や浮き沈みを自覚できる。(心がおどるような変化がない時や書く気持ちがわかない時があります。それが、自分自身の状態を自覚する機会にもなります。)
 
今は、日記帳やノートを準備しなくても、パソコンやスマートフォンを使えば、気軽にものを書ける時代になりました。仲間との共有も簡単にできます。今、この時を記録していくことは、教師として成長するための大切な第一歩となるはずです。

ジャーナリングを意味のあるものにするためには、以下のことを念頭においておくと良いと言われています:

1  目的を決める。
2  読み手を決める。(自分だけ、仲間と、メンターと)
3  時間を決める。(いつ書くか、どれだけ時間をかけるか)
4  定期的に読み直す。(何か浮かび上がってくることはないか?)
5  一定の期間をおいて振り返る。(目的を達したか、うまくいったことは何か、新しい学びはあったか、仲間と共有できることはあるか)(Richards & Farrell, 2005,p.75-76)。

さあ、まずは、1ヶ月。ぜひ、挑戦してみてください。


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*<月間の振り返り質問>
1.この間、一番心が動いたことは? 嬉しかったこと、悲しかったことは?人に一番伝えたいことは? 
2.ブログを書くことでプラスになったと思えること、得られたことは?
3.他の人のブログを読むことでプラスになったと思えること、得られたことは?
4.自分の変化は?自分についての発見は?
5.困ったことは? 改善が必要な点は?
その他何でも気づいたこと、思ったことは?
<中長期に振り返るための設問>
1 チーム・ブログとして機能していたか否か? その理由は?
2 今からのブログを書くことについて、達成可能と思える自分の目標は?
3 振り返り質問事項の修正点は?


[参考文献]
吉田新一郎(2006)『「学び」で組織は成長する』光文社新書
Jack Richards and Thomas Farrell (2005) Professional Development for Language Teachers, Cambridge.

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