2018年8月19日日曜日

新刊予告『一人ひとりをいかす評価』


 評価は、学期末にすればいいものと思っていませんか? それは、評価ではなく、評定=成績をつけることです。
 評価は、学期が始まる段階から、成績をつけるまで(そして、理想的には学年が終わってからも)続くものです。
 その意味では、まさに今がお買い得なタイミングの本です。
 逆に、学期末や学年末では、時すでに遅しになってしまいますから。

 あなたは、評価は3種類あることはご存知だと思います。
①学年や学期が始まる段階で行う診断的評価、②学年・学期を通して行う形成的評価、そして③学期や学年を中心に行われる総括的評価です。

 大切な順番をあえて付けると、断然トップが形成的評価で、その後を総括的評価と診断的評価がついている感じです。(そうなのです。今号は、前回の8月12日号の続編的な位置づけとして捉えられます。)

 しかし、わが国では、ほとんどの時間とエネルギーを総括的評価とも言い難いテスト=評定=成績をつけることに費やし続けています。
 本書では、効果的な成績のあり方にも一章を割いていますので、とても参考になります!
 大切なのは、子どもたちの学びをサポートすることなのですが、日本の評価/評定は、残念ながらそうはなっていません。教師の教え方を改善するための手段ともなっていません。
 本書は、まさにそれら2つを実現するために書かれています。そのために不可欠なのが、診断的、形成的、総括的評価で、その3つについて詳しく書かれています。それぞれに適した具体的な方法が紹介されているだけでなく、それらを使った実際の授業の実例もわかりやすく提示されているので、イメージがつきやすいです。

 少し違う角度からの紹介をすると、
http://projectbetterschool.blogspot.com/2015/03/blog-post.html で3つの異なる教え方を表で紹介しました。あなたの教え方はどれでしょうか?
 ラフに見積もって、一番左側の教え方が日本では、依然として99%強を占めていると思います。真ん中のファシリテーション形式で行われているのが残りの1%弱です。そして、一番右側は、まだ0.1%もいないと思います。
 しかし、「主体的・対話的で深い学び」と言ったら、一番右側の選択肢しか基本的にはありません。それぞれの項目を読んでいただければ明らかだと思います。(あなたは、特にどの項目に惹かれますか?)

 今回の本は、特に、2列目の「responsive teaching =生徒のニーズに対応する教え方」と、下から3列目と4列目の「できることを説明・証明できる」と「それをサポートする評価(形成的評価)」と深く関係します。(本当のところは、ほとんど全部ですが。しかも、形成的評価だけでなく、診断的評価と総括的評価も扱われています。ある意味で、それらは切り離すことができないからです。)

 それに対して、一番左側の一斉授業にも、真ん中のファシリテーションにも、評価マインドはありません。一斉授業は「教えるのが終わったらテスト問題を考える」アプローチですし、ファシリテーションは「アクティビティーが終わったら振り返る」アプローチです。最初から、診断的評価も、形成的評価も、排除してしまっているアプローチなのです。それでは残念ながら生徒たちの学びはもちろんのこと、それを可能にする教師の指導内容や方法を修正・改善することを放棄してしまっています。

 その意味では、この本は文科省が20年近く前に「指導と評価の一体化」を唱えはしましたが、いまだに実現していない極めて大切なことを具体的に実現する方法を提供してくれている本でもあります。

 最後になりましたが、今回の本は、タイトルから分かるように去年の3月に出た『ようこそ、一人ひとりをいかす教室へ』の評価に特化した姉妹本でもあります。


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