2017年10月29日日曜日

特別支援の教え方を


108日のこのブログで「特別支援の教え方をすべての教室に」が掲載されましたが、その話についてコメントしたいと思います。

以下のような記述がありました。

「一般級の教室をさっと見ただけで、45分間意味を見いだせない学習に耐えきれない子どもや、大人数の教室環境に耐えきれない子どもは少なからず存在することが分かります。そして、しっかり見ないと気づけない注意力に課題のある子や、学習に偏りのある子など、教室は特別支援級と同じぐらい多様な子がひしめき合っています。子どもの多様性という点において、一般級と特別支援級の違いはほぼなくなってきているように思えます。特別支援級であれほど個に応じた学習が工夫されているのに、壁をひとつ挟んだ隣の教室では、いまだに個人よりも学習内容の方が大切にされる学習が行われていることが不思議でなりません。一般級から特別支援級、特別支援級から一般級へと、異動は少なからず行われているのにも関わらず、個に応じた学習は特別支援教育特有のものであるという認識からか、個に応じた学習が一般級で大切にされることは少ないように思います。」

     まさに、学校現場はそのとおりです。
 

数年前の文部科学省調査で、発達障害の可能性のある小中学生が6.5%に上ることが分かっています。推計で約60万人に上り、40人学級で1クラスにつき2、3人の割合になるわけです。こうした子供たちは学習を進めていく上で、困難を抱えることが多く、通常学級では担任の配慮がなければ教科の学習でつまずくことになります。



さすがに、文部科学省も事態を看過できず、今回の学習指導要領の改訂で、各教科の解説書の中で、やっといくらか踏み込んだ記述をしています。
 (『小学校学習指導要領解説・理科編』平成296月文部科学省より)
     
 第4章指導計画の作成と内容の取扱い

1指導計画作成上の配慮事項

(3) 障害のある児童への指導

(3) 障害のある児童などについては,学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行うこと。

 通常の学級においても,発達障害を含む障害のある児童が在籍している可能性があることを前提に,全ての教科等において,一人一人の教育的ニーズに応じたきめ細かな指導や支援ができるよう,障害種別の指導の工夫のみならず,各教科等の学びの過程において考えられる困難さに対する指導の工夫の意図,手立てを明確にすることが重要である。 
~途中省略~



例えば,理科における配慮として,実験を行う活動において,実験の手順や方法を理解することが困難であったり,見通しがもてなかったりして,学習活動に参加することが難しい場合には,学習の見通しがもてるよう,実験の目的を明示したり,実験の手順や方法を視覚的に表したプリント等を掲示したり,配付したりするなどが考えられる。また,燃焼実験のように危険を伴う学習活動において,危険に気付きにくい場合には,教師が確実に様子を把握できる場所で活動できるようにするなどの配慮が考えられる。さらには,自然の事物・現象を観察する活動において,時間をかけて観察をすることが難しい場合には,観察するポイントを示したり,ICT教材を活用したりするなどの配慮が考えられる。

なお,学校においては,こうした点を踏まえ,個別の指導計画を作成し,必要な配慮を記載し,翌年度の担任等に引き継ぐことなどが必要である。

 
まさに「一人ひとりをいかす教室」づくりが大切であると文科省も言っているわけです。

特別支援教育で行っている様々な指導上の配慮が当然、通常級でも求められる、というか今後そうしなければ学習でつまずく子供たちがますます増えていくことになります。

 
大学での教員養成の段階から、こうした特別な支援の必要な子供たちへの指導のあり方についてしっかり学んでいく時期に来ているのだと思います。また、もし残念ながらそのような内容を学ばずに学校で教師として働くようになった人たちも、今はいくらでもそのような情報を入手して、自分で学ぶことが可能です。「学び続ける教師」でありたいものです。

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