2015年8月9日日曜日

理科ノート


2月にアメリカのボストンに理科教育に関する調査に出かけて以来、「理科ノート」について調べています。その中で、次のような本を読んでいます。

 
『サイエンス・ノートブック』ロリ・フルトン&ブライアン・キャンベル
  /Heinemann 2014
この本のp.12に次のような記載があります。

 

◆意味のあるスタートによって、子どもたちにはどのような経験がもたらされるのか
   
 始めに考慮しなければならない重要なことの一つは、どのような種類の調査活動が、よい科学的な実践や適切な内容の発展のための強固な基礎をもたらすかということである。幼い子どもたちは年長の子どもよりも科学的な実践に関して経験が少なく、観察の方法や科学的な手続きを踏むことに関してガイダンスが必要である。

 最初の経験は子どもたちに様々な手法を用いて記録する機会を提供してくれるだろう。より多くの感覚を動員する観察のほうがうまくいくだろう。

身近なフルーツや葉、校庭の一部といったものを子どもたちが観察することで、適切な初期の活動にすることができる。なぜなら、この調査活動は将来の記録に備える段階となるからであり、夢中になって取り組んだり、科学的な話をしたりすることが大切であり、それによって発展的な活動とすることができる。

○この本のよいと思ったところは、最初に観察の仕方を丁寧に教えるところです。
   
「最初の一週間の様子は?     P.15

1

目標: 生徒はリンゴの観察記録を付ける。

材料: リンゴ、ルーペ、ノート

時間: 50分超
   
1. 授業の紹介 生徒と一緒に議論し、りんごを観察し、気づいたことを記録する。(2分間)

2. 観察して気づいたことを記録するツールとしてノートを利用することを紹介する。生徒と日付や題目といった主要な要素について議論する。

3. 生徒にリンゴを観察させ、気づいたことを記録させる。(10分間)

4. 生徒に床に輪になって座るように指示し、パートナーと観察して気づいたことを共有する。(3分間)

5. サイエンス・ノートを利用して、全体で観察記録について共有させる。黒板に観察した記録を描く。(10分間)

6. 子どもたちが記録したことを共有する。様々な記録の仕方について議論させる。(5分間)

7. ルーペを紹介し、その使い方について説明する。(2分間)

8. 「りんごはどう見える?(K-2 学年)とか、「りんごの見え方はどう変わる?(3-5学年)のような質問をする。質問をノートに記録させ、パートナーになった子どもと一緒に観察する時間を与える。(10分間)

9. 子どもたちに元の位置に戻るように指示して、観察結果を共有させる。特に、似ているところと違うところに注意して。(3分間)

10. 前の質問に戻る。子どもたちに話し合う相手を変えて、質問について議論させ、答えをノートに記録させる。(5~10分間)

 
 これが、初日の観察手順です。内容がさらに進化しつつ、5日間のプログラムを通して、子どもたちは「観察」の仕方について学ぶことになります。

「ノート」を取ることはわが国の理科教育でもこれまで大切に指導されてきていますが、今後はevidenceをもとに、自分の考えを主張することがこれまで以上に求められることになるでしょうから、「理科ノート」に何を、どのように書くかということがポイントになるでしょう。

 

 

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