2011年12月4日日曜日

人材育成について

企業の若手育成のあり方を調べてみました。「ラーニング・リーダーシップ」(牛尾奈緒美他・日本経済新聞出版社)によると、OJT(実践)とOFF−JT(研修)のバランスは9:1とのこと。研修では、実務遂行に必要な知識の獲得やスキルの修得をおこなうと言います。



ある企業では、新入社員を経験10年程度の社員が指導するそうですが、10年経験社員にとっても、いい研修となるようです。



学校の場合は、初任者研修があるので、2〜5年目あたりの若手を対象に経験10年程度の教員が指導員となってマンツーマンで育てていくということが考えられます。



このやり方は全国各地の教育センターですでに行われていると思います。



そこで、「経験6〜9年目教員」についても、育成期間ととらえ、「学びあいの機会」を確保するのがよいのではないでしょうか。



 その際にも、校内において「教え学ぶ文化」を構築することが重要となります。当然、先輩が後輩に教え授けるという一方通行の学びではなく、双方向性のある学びも求められるものと思います。





(メルマガの続き)





 以前、校内の学び合いに関して、次のような論文を書いたことがあります。
 (以下、貼り付け)

 同僚教師との交流が若手教師の専門的力量形成に重要な役割を果たしていたことが油布佐和子(2003)により指摘されている。

 新任教師は、その養成段階で科学的知識や技術を習得しているが、さまざまな要素が混在する複雑で流動的な実際の教育現場では、それを単純に適用しても役に立たないことが多い。経験を積んだ専門家と活動場面を共にし、的確なアドバイスを受けることにより、新任教師は、あらかじめ持っている一般的・抽象的な知識や技術をより具体的で有益なものに不断に再構成し、また、現場で役に立つものに変換し、実行に移せるようになるのである。

岩川直樹(1994)は次のように述べている。

 教師の専門的成長の場は、ひとりひとりの教師の世界に閉ざされたものとして思い描かれるべきではない。自らの実践に根ざしながらも、他の教師との交流に開かれていくことが、教師の専門的成長にとって大きな意味をもつからである。

 これまで見てきたような「同僚性の構築」がいつごろから学校経営の中で話題になってきたのかを少し振り返ってみたい。
実は1980年代にアメリカにおいて、盛んに「学校を基盤とした学校経営」(School Based Management )が叫ばれ、多くの実践がなされた。特に、ハーバード大学のロランド・バースによる「学校を内側から改善する」(Improving Schools from Within)が刊行されて、その流れは加速された。バースはその著書の中で、「同僚性」という用語が「友情的、親しい関係」を意味するCongeniality(親密性)と混同されやすいことを指摘した上で、同僚性とは「ミツバチの箱」のように各構成員が一定の役割文化を保ちつつ、全体として協働している状態だと説明した。そして、同僚性の特性を具体的な場面にあてはめて次のように説明している。つまり、校内の研修において同僚性が発揮される場面とは、次の5点であるとした。

1 授業等の教育実践についての語り合いがしばしば、継続的に見られること
2 教育実践をお互いによく観察しあっている
3 観察の成果が互いの実践に反映されている
4 カリキュラムの計画・実施・評価の過程で教師が仕事を分担しあっている
5 教育実践についてお互いに教えあっている

 このような同僚関係が校内に構築されることにより、教師の専門的力量を伸ばすことができ、それを通して、学校改善が図られるということになる。このような流れの中で、アメリカの学校での校内研修は同僚性・協働化を促進する方向で進められことになった。その流れの次の段階が「ピア・コーチング」である。
 その先駆的な研究を担ったのが、ジョイスらであるが、彼らの仮説は次のようなものである。

1 研修は学校単位で行うのが最も効果的であること。
2 校長は校内研修において最も指導的なリーダーシップを発揮できること。
3 校内で研修プログラムを開発することにより、教師は所属意識と参加への意欲を高められること。
4 教師の専門的な力量は共有することができること。
5 教師に大幅な権限委譲をすることが望ましいこと。
6 教師による研修の計画・実施は教師の成長に役立つ経営資源を提供するきっかけとなること。

 このような仮説に基づいて、ピア・コーチングを利用した校内研修がいくつかの州で実施された。その実践の中で、「観察」一つを取っても、観察する側とされる側がお互いに鏡として作用することを通して、知識や技術を導入するきっかけとなることが成果として確認された。

(貼り付け 終わり)

 OJTとOFF-JTの両輪で行うのが理想です。でも、効果的なOFF-JTの提供は難しいですね。また、校内のOJTでは、大きな学校行事、総合的な学習などをプロジェクト化して、研修対象者をその担当の一人にすることによって、様々な知識やスキルを身につけさせることができると思います。

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