2022年1月24日月曜日

質問・発問が、授業で果たす役割はとても大きい!! 教師は、そのための知識やスキルを身につけているか?

1月16日(投稿忘れ!!)の分です。

 千葉県の中学校の校長先生の梅さんが書いてくれた『質問・発問をハックする』の書評を紹介します。

「質問」についての本ですが、「質問」には何種類かあると読み取りました。
1.探究学習で調べたいテーマを決める。
2.理解を深めるために質問のポイントを明確にしたり、言い換えたりする。
3.メタ認知を深める。
の三つです。
同じ質問を扱った『たった一つを変えるだけ』は、1がメインテーマでしたが、この本は、2と3がメインだと思います。「分かりません」と言わない、言い換えの例などが挙げられていますが、私も是非取り入れたいです。
さて、どんな先生に向いている本なのでしょうか? 私は本を読むとき、まずこれが頭に浮かびます。この本は、初任者からベテランまですべての先生・教科にとって示唆を与えてくれる本だと思います。国語や探究学習の話が多く出てきますが、すべての教科の先生に深く考えさせてくれること請け合いです。新任の先生にもお勧めできます。(悪い先生の例もさりげなくたくさん出てきます)。
第2章では、「わかりませんと言わせない」とありますが、私自身この観点を考えたことはありませんでした。むしろ、グループ学習の時は、「分からないのに、分かったふりをしないように」と指示していました。そして、「分かりません」は悪くはないが、その後に分からない点はどこか、を質問という形で言い換えられるといいと思っていましたが、生徒に「言い換え」の方法について示すことができずにいました。この本にはそのヒントが書かれています。
「授業が『正解当てっこゲーム』ならば、学びは深まらない」(38ページ)と著者は説きますが、その通りです。子どもは、小学校から「当てっこゲーム」と思っていますし、先生自身も「当てっこゲーム」こそ授業だと思っている人がほとんどだと思います。これをどう変えていくかが一番難しいところです。
第7章の「教師の存在を見えなくする」は、私もこれを実践してきましたし、手応えを感じた授業では、教師が途中でいなくなっても大丈夫です。しかし、これができない先生は多い。特に英語の先生に多いと思いますが、皆さんいかがでしょうか。
最後の第11章は「学びの安全地帯をつくる」です。結局これに尽きると思います。間違いを恐れない、間違いを次へのチャンスと捉える生徒は勉強ができる傾向にあるし、やはり教師自身が間違いを大切にしていくことです。私は「おかしいな、はチャンス」と教えています。
「生徒を笑うのではなく、生徒と一緒に笑う」(296ページ)という一節がありますが、生徒を笑いの対象にしてしまうことは教師がやりがちな言動です。安全地帯をつくりたければ、厳に慎むべきです。 一方で、軽い冗談(ユーモア)や、見たり聞いたりした面白い話は、親近感をもってもらうのに寄与します。「生徒と信頼関係を築くには」(309~311ページ)では、著者も指摘するように、「繊細で難しい」ことです。私は、生徒に対して常に誠実であり続けることだと思っています。
他にも、若手、ベテランに限らず、教師の心構えとして大切なメッセージがたくさん書かれています。すべての教師に「教師としての在り方」を問うている本だと思います。

◆オマケ
 梅さんに、他のおすすめの本を聞いてみました。
一番のおすすめは、『「考える力」はこうしてつける』と『「学びの責任」は誰にあるのか』の二冊です。
他には、ハック・シリーズすべて(特に『宿題をハックする』)と、マイケル・J・マーコードの『実践 アクションラーニング入門』とピータードラッカーの『非営利組織の経営』も、です。
『宿題をハックする』は、教員みんなが「何かおかしい」と思っているので、改善の方向性を与えてくれます。
『アクションラーニング入門』は、現場の先生の研修の在り方についてヒントを与えてくれると思います。
『非営利組織の経営』は私自身何度も読み返しました。ビジョンの大切さを確認できます。
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 私も、『非営利組織の経営』が出てすぐに読みました。「ビジョンのない組織は消えた方がいい」と書いてあったのは、すごいインパクトでした。学校を含めて、ほとんどの公共機関はビジョンをもっていませんから・・・・しかし、この本にはビジョンのつくり方は書いてありませんでした。そこで数年間探して見つけたのが、『エンパワーメントの鍵』でした。こちらは絶版なので、図書館で借りてください。



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