2021年9月5日日曜日

「子どもたちが主人公」は実現しているか

「学校は子どもたちが主人公」。かなり使い古されたフレーズですが、日本中の多くの学校がかかげているスローガンです。とても共感できるものですし、ぜひ、そのような哲学のもとで、学校づくりを進めていってほしいと思います。

しかし、このような標語が頻繁に出てくるということは、未だに学校では、多くのことが「教師中心で回っている」ことの裏返しなのかもしれません。

『学校リーダーシップをハックする』では、生徒中心の学校のもつ基本的な哲学を次のように記述しています。★1

「生徒が学びに対して発言権をもち、学び方に選択権があり、幸せに夢中で学ぶ生徒を育てることが学校の役割だ、という哲学です。」

同書では、生徒中心の学校をつくるステップとして、1)意思決定のチームをつくり生徒をそのチームに加える 2)生徒が会議に参加することを奨励する 3)生徒が自らの興味やアイデアで、学びを進めるプロジェクトの時間などがある 4)生徒によるエド・キャンプ(参加者が自ら計画し、運営する学びの場)を始める といったプロセスを奨励しています。

校内の各種委員会などを含めて、学校運営協議会のような会議のメンバーに、児童・生徒が入っている割合は、どの程度でしょうか? 子どもたちは、どの程度の主体者意識をもって、そのような会議に参画しているでしょうか?子どもたちは、自分の学校について、オウナーシップをもっていると自覚しているでしょうか?そして、教員集団は、子どもたちの力を信じて、任せているでしょうか。大人の都合の良いように、主人公を演じさせられているように見えるのは私だけでしょうか。

しかし、これは無理のないことなのかもしれません。学校という教育制度自体が、長らく、規則に従い、従順な働き手を育てることが役割だったのですから。ジョン・スペンサー/A・J・ジュリアーニは、『あなたの授業が子どもと世界を変えるーエンパワーメントのチカラ』の中で、古い教育制度は「規則に従う人々を作り出すものであり、何をしたらいいかについて指示を待つことを意図してつくられたものです。この制度から卒業すると、あなたは何をするときも誰かの指示を待つことになります。」★2 と記しています。

教師は、「コントロール・マニア」になりがちだと言われます。生徒たちのために、あらゆることを、決定したがるものです。教材も、内容も、課題も、ねらいも達成目標も、進め方も、それらの活動への評価もです。そして、それらの決定権を手放そうとしません。それは、生徒たちにはそのような決定はできないと思いこんでいるからです。しかも、生徒の決定に任せるよりも、労力も少なくて済むと思っています。そして、それが生徒たちの「ため」であると、心から信じている教師も多いものです。

このコントロールを放棄するところから、生徒たちが主人公の学校づくりは始まります。

最近、エンパワーメント(empowerment)という言葉を聞く機会も多くなりました。「エンパワーメント」には、「力を与える」「権限を委譲する」という意味があります。生徒たちの力を信じて、失敗を恐れず、生徒たちに、任せところから始める必要がありそうです。今回紹介した2冊の本には、そのためのアイデアや考え方が数多く紹介されています。あなたの学校でできることから始めてみませんか。

教師のコントロールに依存しつづけるだけでは、生徒たちが主人公となる学校づくりは実現しないでしょう。生徒たちは、エンパワーされることによってのみ、潜在している能力が引き出されていくのです。


★1 近日発刊予定 『学校リーダーシップをハックする』 ハック6 「生徒を学校の中心に据える ー子どものための学校をつくろう」

★2 ジョン・スペンサー/A・J・ジュリアーニ (2020) 『あなたの授業が子どもと世界を変えるーエンパワーメントのチカラ』新評論. p.24

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