学校を卒業する生徒たちには、自発性、創造性、自立性、忍耐力などを身につけた社会人となることが期待されていますが、それらは授業を通してどれほど実現できているでしょうか? この問いに対して、著者のエンダーソン氏は次のように言い切っています。
「これらは画一性と従順さを基調にしたような環境では決して身につけることのできない資質です。彼らが学ぶ際により多くの選択できる機会をもっていれば、自分にあった学び方で、より熱中して取り組むことが可能となります。その過程で彼らは、生涯にわたって学び続ける学習者に必要とされるスキルと習慣を身につけることができるのです」(viiページ)。
退屈している生徒、苛立っている生徒、学力が伸びない生徒を助けたいと思っている教師は少なくありませんが、そうした切実な問題を克服するための情報は提供されているでしょうか? 残念ながら我が国においてはあまり提供されているとは言い難い状況が続いていますが、エンダーソン氏は「今日のような教育環境のなかでこそ(日米ともに、テストに追われる状況があります!)、これまで以上に『生徒(学習者)が選択する学び』には意味があり、大事だと私は主張します・・・・ほとんどの生徒が、これまで以上に多様で複雑なニーズと能力をもって学校にやって来ています。彼らは異なるからこそ、一人ひとりにとって意味のある形でスキルや学習内容を身につけたり、学んだりするチャンスを必要としているのです」(3ページ)とも書いています。
本書の結びで著者は、「いろいろな意味で、私は選択肢を提供することが、生徒たちを真の学び手として成長するための助けとなるもっとも重要な方法と位置づけています。ここでいう真の学び手とは、自分の学びに責任をもち、学び手としての自らを理解し、そして取り組むことに個人的な関連やチャレンジ、そして楽しみを見いだす必要についてわかっている人のことです。生徒たちをエンパワーし(力づけ)、彼らが学び方について学ぶことをサポートし、意味のあるキャリアを見いだし、残りの人生を通して成長と学び続けることを楽しめる人々を育てるために、私たちは助けることができるのです」(306ページ)とまとめていますが、まったくその通りだと思います。
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