2015年5月24日日曜日

保育から学ぶこと


数年前から大学で、「幼稚園教諭」を志望する学生を対象とした授業も担当しています。

最近思うことは、学校教育も保育に学ぶべきことがたくさんあるということです。(もちろん、幼稚園も学校教育法に規定される学校教育機関の一つなのですが。)
    
   たとえば、幼稚園教育要領の中で、「幼稚園教育は、幼児期の特性を踏まえ、環境を通して行うものであることを基本とする」と書かれています。そのために、子どもたちが主体的に活動できるようにするために、環境を構成していくのが教師の役割であるというのが基本的な考え方です。ここには、「意欲的、自発的に活動する」子ども観が根底にあります。

 つまり、教師が主体となって子どもたちをある方向に導いて行こうとか、教えてあげるというのは、「基本的に方向性が違います」ということです。このことは、小学校以上の学校でも原則は同じではないでしょうか。ある保育園の園長が「これまでの学校教育はあまりにも『教える』という意味合いが強すぎたのではないでしょうか」と語っていましたが、その通りだと思います。

学習する主体である子どもたちが意欲的に学べるような「環境」を用意して、うまく学習が進むように調整していく役割がこれからの教師の大きな仕事であると言えます。

 幼稚園教育においても、最近は早期教育と称して、「英語教育」などが取り入れられているところも増えているようですが、それが単に小学校教育の先取りとして行われているのであれば、残念な話です。同様のことは、小学校の英語教育導入にも言えることです。グローバリズムの進展により、せめて英語ができないと国際人にはなれないというような風潮から小学校英語の実施に踏み切ったのだと思いますが、英語よりはまず母国語である「日本語」をどうするかのほうが先であることは自明のことです。

    その具体策としての「リーディング・ワークショップ」「ライティング・ワークショップ」にさらに多くの人の注目が集まることを期待したいものです。

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