2015年4月12日日曜日

思考と行動


今の政治の世界は、「翼賛体制」になりつつあるのではないか、という危機感の表明が知識人から時折上がります。

教育の世界はどうでしょうか。もちろん、教育も政治の影響をまともに受けている訳で、道徳の教科化、小中一貫の9年生の義務教育学校制度、教育委員長を廃止して教育長に一本化する新教育委員会制度と、枚挙の暇がないほど、次々と新しい施策が実行に移されています。教育委員会や学校は、考える暇もなく、ただ上から言われたことを実行する、仕方なくやらされる、そんな雰囲気になってきているのではと思います。

よく「粛々と」という文言を使う人がいますが、あれほど人を馬鹿にした言葉もありません。まさに、「本質的なことを考えるのではなく」「思考停止状態で」与えられた職責、仕事を黙々と「こなす」という状況を一番よく表現している言葉だと感じます。

「自分の頭で考えようとする」人が、仕事のやりづらい状況が今の教育委員会であり、学校ではないでしょうか。何も考えずに、上から言われたことだけをやっていればいい、ということであれば、創造的な仕事はできないでしょうし、創造性あふれた、心豊かな子どもたちを育てていくこともできないでしょう。

このままでは、日本人はどうやって生き延びていくのか、人材こそがこの国の唯一の支えであるのに、この状況を考えると、複雑な気持ちになります。


時折、仕事帰りに夕刊紙を買って帰りますが、この間読んだ記事で、劇作家の平田オリザさんがこう書いていました。
   
「これからは、レジスタンスの時代。ゲリラ戦で戦っていくしかありません。」

 ゲリラ戦は所詮一定の限界があると思いますが、要は一人一人が自分の持ち場で、精一杯仕事をしていく、そんな状況なのかも知れません。そして、一人二人と仲間を増やしていくこと。それが、学びの共同体に発展していく、そんな道筋を描きたいものです。

私は時々、『校長先生という仕事』(平凡社新書)と『効果10倍の学びの技法~シンプルな方法で学校が変わる』(PHP新書)を読み返すことにしています。この本は、それぞれ何回読んでも、またこうしてみようというやる気が湧いてくる本の一つなのです。

これらを読みながら、大学での前期の講義・セミナーの内容を、昨年とはまた少し違ったものにしていこうと考えているところです。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿