2014年10月19日日曜日

歴史の授業


今回は歴史の授業の話題から入りたいと思います。

中学・高校の日本史の授業で学んだ、豊臣秀吉の「刀狩り」を多くの方は覚えておられることでしょう。


 中学校学習指導要領解説・社会科では、歴史的分野の「(4)近世の日本」で、次のような内容の取扱いが示されています。

 

ア 「ヨーロッパ人来航の背景」については,新航路の開拓を中心に取り扱い,宗教改革についても触れること。「織田・豊臣による統一事業」については,検地・刀狩などの政策を取り扱うようにすること。

 

このように示されていることから、当然教科書にも「刀狩り」が取り上げられています。

したがって、秀吉の刀狩りによって民衆は武装解除されたということが従来「常識」となっていたが、近年の研究によりどうもそれが違うという話になりつつあります。


つまり、刀狩り以降も刀、脇差を武士以外の人々も所有していたようなのです。

いずれ、この「刀狩り」に関する記述も変更を迫られることになるかもしれません。

 

「教科書に書いてあることはすべて正しい」と思い込んできた日本人からすると、「なんだ、そうだったのか」となりそうです。このブログで取り上げてきた「教科書をカバーするだけの授業ではダメだ」にも通じる話かもしれません。

 

むしろ、これからは「「刀狩り」によって民衆の武器はすべて取り上げられたのか」をテーマにして調べるような授業のほうがはるかに面白い授業だと言えるでしょう。


実際、日本の歴史では、この「刀狩り」後、2回大がかりな「武器の回収」が行われています。明治維新後の1876年に、「帯刀禁止令」が公布されました。また、第二次大戦後の1945年の占領軍による「武器引き渡し指令」です。この占領軍による回収で、推定300万本の刀が回収され、廃棄されたとのことです。2006年度末の銃刀法による登録された刀が250万点だったので、戦前の日本にはおよそ550万本の刀が「丸腰の民衆」の手にあったことになります。(藤木久志「刀狩り」岩波新書2005による)


 このように、「刀狩り」をキーワードに歴史を見ていくと、歴史の授業の面白さが再発見できるのではないでしょうか。

 

 他教科でも、自分の関心事をテーマとして、探究学習をします。その手法は総合的な学習だけではなくて、様々な教科の学習で活かすことができます。基礎・基本に対して、「活用型」学習という言葉通りの授業を実践したいならば、このような学習を年間の指導計画の随所に取り入れて行えば、無理のない実践が可能になると思います。

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