2012年2月5日日曜日

人材育成

 人材育成は教育の世界だけでなく、今やどこでもその重要性が高まっていると言えます。


 今、私は地区校長会の研修担当をしています。


 2年後のある大会での研究発表が予定されているので、それを目標に共同研究をしています。与えられたテーマは「創造力と使命感に満ちた教職員の育成」です。



 「創造力」については吉田さんの著書(「効果10倍の<教える>技術」PHP新書 p.181)でも紹介されているジョアン・ダルトンの言葉を参考にすることにしました。


 「創造力は末広がりの思考と、批判的思考力に深く結びついている。」(ジョアン・ダルトン「Adventures in thinkingJoan Dalton & Thomas Nelson 1985)


 そして、この創造力は具体的には「臨機応変の対応力、自主性、寛容さ、情報を共有する姿勢、自信などの形で表れる」と説明されています。



 これまでは「正解主義」で閉じていた学校にあっては、その構成員である教師も「前例主義」で行動していました。しかし、変化の激しい時代にあっては、「前例主義」は通用しなくなっています。


 そこで、教職員の「創造力」を育むためにも、校長には前例主義でなく、その学校の実態をよくつかんで、新たな発想で取り組めることを積極的に取り入れていくことが求められます。「自主性」なども学校行事のプロジェクトを実行していくなかで、育てられるものと思います。


 また、「臨機応変の対応力」も「危機管理」に関連して育てられるでしょう。


 


 次にもう一つのテーマである「使命感」を考えます。


 先行研究をさがしたところ、京都市総合教育センター発行の平成14年度研究紀要が参考になりました。


 なかでも「教員自らが力量を高めるための研修のあり方」を先行研究として参考にしました。


それによると、「教育者としての使命感」は「自主的に様々な研修会に参加しようとする意欲」「教材研究を徹底してやろうという追究の態度」「子どもたちのことには最後までかかわろうという責任感」「子どもの指導に情熱をもって取り組む態度」の4つの観点でとらえられています。


 つまり、「教育者としての使命感」を「意欲」「追究」「責任感」「情熱」の4つの観点から見ていこうというものです。「意欲」「追究」の2点については、「研究授業/授業研究」という研修のなかである程度、育てていくことができると思われます。


また、「意欲」⇔「目標の明確化」「自信」「責任感」「自発的欲求」という双方向の関係もあります。これらの項目は互いに関係しており、簡単ではありませんが、育成の方向性は見えてくると思います。


ある人の指摘によると『「使命感」の基礎にあるものは、「自信」である』という考え方もあります。そうなると、仕事に自信をもてるような職員を育てるには、「やる気をおこす職場風土」をつくることが求められるということにもなります。


このあたりは、日々の仕事のなかで、いわゆるOJTが大切だということになります。


「やる気をおこす職場風土」は以前にもふれたように様々な方略があります。ビジョンの明確化やそれを実現するための手立て、組織体制づくりなど、すでに広く紹介されているやり方をうまく取り入れていけば実現可能なことです。


そして忘れてはならないのは、学校では校長の「学びのリーダー」としての強い自覚が必要だということです。


私の経験から言うと、これまでの学校経営には校長の「学びのリーダー」という視点が弱かったように思います。また、現在でもどちらかというと管理的な面、特に服務監督とか人事管理ばかりが強調される傾向があります。教職員の不祥事などによってどうしても「管理」が前面に出てしまうのですが、「学び」が疎かにされると学校は必ず「荒れ」の現象を迎えることになります。



今週はうれしい発見が一つありました。


今年度の「学校評価」アンケート結果が出たのですが、そのなかで「自分は今の学校が好きである」と「学校生活は毎日楽しい」の2項目が2年連続で肯定的回答の割合が増えたことです。


「学校が好き」は2年前が82.1%だったのが、昨年は89.5%、今年は90.5%となりました。「学校は毎日楽しい」は2年前が85.8%、昨年が86.8%、今年が90.7%でした。


どちらも昨年と今年で5ポイント以上の上昇です。


この2年間私がやってきたことの効果の裏付けとなるデータです。(自己満足かもしれませんが)


ただそれで満足するのではなく、否定的な回答をしている生徒の数をさらに減らしたいと思います。



このような成果があると、それが自分の仕事の自信につながります。さらに次の仕事への意欲がわいてくるということで、「やる気をおこす職場風土」が作られていくのでしょう。


 

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