以下の表は、「いい授業」の条件/特徴と「悪い授業」の特徴をChatGPTに出してもらった項目を整理したものです。
納得できる内容でしょうか? 修正したいところや、付け加えたい項目はありますか?
あなたの授業は、いい授業の特徴をより多くもった形で行われていますか?
よりよい授業をつくり出すのに、あなたが特に気をつけたい項目はどれですか?
「悪い授業」を一言でいうと、見かけは、学びが起こっているようだが、実際は子どもの学びが成立していない授業。教師は「授業をしたつもり」、子どもは「学んだつもり」になっているが、残るものの少ない「薄っぺらな学びしか存在しない」授業のことです(この問題を文科省も知っているからか、いろいろ提案を出しています!)。
このように悪い授業といい授業の特徴が明らかになっている中で、前者から後者への移行はどのように実現できるかを尋ねてみたところ、ChapGPTは次の5つの視点というか原則を提示してくれました(文科省も、これら全部ではないかもしれませんが、似たような転換を求めています!)。
- 教師中心から学習者中心へ
- 一斉進行から学びの個別化へ
- 形式的な活動(課題)から意味ある活動(課題)へ
- 結果重視から学習プロセス重視へ
- 教師の「やったつもり」から教師の省察へ
こちらも、大切なポイントを網羅してくれていると思いますが、あなたは、それぞれの項目だけでピンときますか(つまり、それぞれの項目で何をどうすればいいか分かりますか)?
5つ全部について補足説明とそれを実現するための情報源の提供が必要と思いますが、今回は3番目の「形式的な活動(課題)から意味ある活動(課題)へ」に焦点を絞ります。
『ほんものの学びに夢中になる ~ 関わりあい高めあう授業づくり』(ローレン・ポロソフ著、北大路書房)の第4章に、次のようなエピソードが紹介されています。
(中学校で国語を教えていた著者は)生徒のほとんどが詩を嫌っていることを知りました。そのうちの一人が、詩の授業が抱える問題をまとめてくれました。「学校で読まなければならない詩はどれもつまらないか、意味不明なものばかり。もし意味があって少しは面白いと思えても、つまらなくなるまでその詩について話さなければならない。そのうえ、その詩についてつまらない作文を書かなければならない。」(『ほんものの学びに夢中になる』63ページ)
ここでは国語の詩が具体的な例として取り上げられていますが、算数・数学、理科、社会、英語など他教科でも共通に抱える問題ではないかと思います。これまでやられてきた方法だから生徒たちの学びが成立するとは限りませんし、生徒たちにその教科やテーマを嫌いにさせてしまうというのは授業をするうえでもっとも避けたいことです。
著者は、上の状況を脱するために、生徒が選択できるように複数の活動(課題)を考えしました。それぞれの課題には詩を分析して書く要素が含まれていましたが、その課題はエッセイを書くものだけではありません。思ったことや考えたことを表現するのにも様々な形態がありえますし、複数の形態を組み合わせることもできるようにしました。課題の選択肢には次のようなものが含まれました。
同じようなテーマの詩を集めたアンソロジーをつくる。詩の内容をもとに振り付けをして踊る。詩のリミックスを録音する。BuzzFeedスタイルの「あなたはどの詩ですか?」クイズを作成する。生徒たちが最終的なプロジェクトをイメージできるように、私(著者)自身もそれぞれの課題に楽しんで取り組んでみました(同、63~4ページ)。
「自分が考えた課題に自分で取り組むのも楽しいことでしたが、生徒たちがどのように課題に取り組むかを見るのは、もっと大きな喜びでした」と書いた上で、具体的に3人の生徒の事例も詳しく紹介してくれています。
著者は、9つの選択肢を用意しましたが、「クリティカルな読解、創造的な解釈、そして分析を含む、詩に反応する課題を自分で考え出すよう生徒にも呼びかけ」たので、それに反応した生徒たちも少なくなく、より一層創造的かつ本人や周りの人たちにより意味のある作品がつくり出されました。
生徒たちは機会さえ提供されれば、自分の学びを十分につくり出せるのです! ぜひ勇気をもってチャンスを与えてあげてください。著者は、自分の実践を振り返って、次のようにまとめています。
(生徒は)自分の興味、長所、ニーズ、価値観に最もマッチした課題を選ぶことができれば、自分の学習により強い主体性(エイジェンシー)をもつことができます。さらに、生徒が自分で学習課題を考案すれば、学習方法の選択だけでなく、「自分の声」も手に入れることになります。主体性に、声と選択は欠かせません!(中略)「声と選択」は、生徒をエンパワーするためのキャッチフレーズとなっています(同上、73ページ)。
教師が(そして生徒も)考えられる学習課題には、次のような可能性が含まれます(同上、65ページ)。
・ビデオを見る。
・複数のひとつながりの問題を解決する。
・ジャーナルを書く。
・親戚/関係者にインタビューする。
・絵本を読む。
・模型をつくる。
・動き(パフォーマンス)の流れを考える。
このリストが、すべての可能性を網羅しているわけではありません。添付の図表4-2(同、69ページ)をご覧ください。それからも分かるように、冒頭の詩の課題として従来生徒たちが取り組まされていた学習課題からは想像もつかないような多岐にわたる可能性がたくさん見えてきませんか?
なお、『ほんものの学びに夢中になる ~ 関わりあい高めあう授業づくり』には、上で紹介した生徒が夢中で取り組める課題のつくり方以外にも、PARTⅠでは、生徒にとって学習内容が人生における意味の原点となるようにするための教え方の設計について4つの章で紹介されています(その際、もはや教科書教材だけでは不十分であることが第1章で明らかにされています)。PARTⅡでは、学習内容、学習方法、最終成果物(=評価)のつながりについて3つの章で紹介されています。そしてPARTⅢでは、生徒同士が互いに関わり合うことで、学級がコミュニティーの原点となるようにするための方法が3つの章で紹介されていますので、ぜひ、よりよい授業づくりの参考にしてください。
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