2024年1月7日日曜日

変化は来ることを確信して

明けましておめでとうございます。また新しい一年が始まりました。本年もよろしくお願いします。


学校に行く機会が増えてきました。コロナ禍で控えられていた接触も普通に戻りつつあり、授業を見る機会、公開の授業研究会に参加することも増えました。その中で、最近実感することは少しづつですが授業の様子が変わりつつあるということです。

英語で言えば、生徒たちが英語を使うことへの抵抗感のようなものが、なくなってきています。先日、参観した高等学校の授業でも、先生が投げかけた結構難しい問いに、生徒たちは英語で議論をしていました。しかも、楽しげに。小グループでのディスカッションやペア・ワークをやっても、実に自然に活動しているように見受けられるのです。

高等学校で、「オーラル・コミュニケーション」という科目が導入され、聞く・話すなど「使える英語」をめざした英語教育改革が本格的にスタートしてのは、1990年代でした。まだ、訳読式の授業が多かったころです。英語授業に関する賛否両論はありながらも★1 、それから約30年。その間、実に様々な施策が実施されてきましたし、学校での教育実践、教育研究の場でも、様々なことが試されてきました。

成功も失敗もあったと思いますが、一つだけ言えることは、当時、掲げられていたビジョンの一部は、教室の中で実現しているということでしょう。一貫したビジョンを掲げ、やり続けることで、変化は必ず訪れる。改めて、それを実感しているところです。

一方で、教育の環境という点でも私たちは様々な変化を目撃しています。

◯生成AIの衝撃
おそらくここ数年でもっとも大きなインパクトがあったのは、ChatGPTに代表される生成AIの登場でしょう。これまで、教室で学習者に求められていたことは、ほぼ全てAIが自然言語で答えることができます。むしろ、大多数の学習者より、優れた解答を出してくれる。少し前までは、AIやコンピューターの発達によって、多くの単純労働が失われるだろうと言われてきましたが、今や単純労働に留まらない。裁判における判例の検索や病例を元にした病気の診断などは、新米弁護士や新米医師よりもAIの方が的確であると言われます。

これを活用しない手はないと思います。危険性がないわけではないでしょうが、新しい、今よりも豊かなものを生み出せる可能性も秘めている。人間にしかできないことは何か、それを見極めたうえで、教室はどう変わっていくべきなのか、考える必要があるのでしょう。しかも、かなり早急に。

◯あふれる学びのリソース
今やYouTubeなどの動画を見れば、ほぼ何でも学ぶことができます。日曜大工的なこと、料理、スポーツ、とにかくジャンルを問わず、必要な情報は、簡単に入手できるのです。2021年佐々木紀彦氏によって創業された、PIVOTという会社は、「ビジネス」+「学び」に特化した映像コンテンツを毎日無料で配信することを目的としています。同社のホームページには、「日本がピボット(方向転換)して、新たな事業や希望を生み出すために大事なのは、「大人がいきいきと学び続けて、自分と時代に合った仕事に挑むこと」だと思います。PIVOTは、日本の社会、企業、個人のピボットを、コンテンツを通じて支援していきます。」とあります。★2 

今は、学ぶためのリソースは、手のひらのうえのスマートフォンで、ほぼ手に入る時代に入りました。そして、それらを使って学ぼうとしている人は、増えていてる。「主体的な学び」などと声を大にして言わなくても、学びたいこと、知りたいことがあれば、いつでも学べる時代なのです。

このような変化の中で、必然的に学校の役割も、教員の役割も変化せざるを得ない。それは、学習者を、より深く、魅力的な学びの入り口にまで案内をするガイド的な役割かもしれない。あるいは、探究心や好奇心を刺激したり、学ぶ意欲を喚起する応援団のような役割かもしれません。あるいは、一人一人の個性や能力、適性を見極めて、一緒に方向性を考えるコーチやメンターのような役割かもしれません。2024年は、教師の役割が、実質的に変容していく節目の年になるかもしれません。

より良い変化。素晴らしいイノベーションをもたらすことができるように、私たちも学び続けたいものです。


★1  平泉渉・渡部昇一 (1995)『英語教育大論争』文春文庫.といった興味深い本も出版されています。

★2 Pivot https://pivot.inc

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