2021年12月19日日曜日

新刊『質問・発問をハックする』

 24日に発売予定の『質問・発問をハックする』(コニー・ハミルトン著、山﨑亜矢ほか訳、新評論)の訳者の一人で、滋賀県の公立高校の大橋康一先生(地歴公民科)が、紹介文を書いてくれました。


 これまで「教えこむ」ことが重視され続けてきた日本の教育が変わりはじめます。来年4月から実施される新学習指導要領で、はじめてまともに「問い」が脚光を浴びることになったのです。新指導要領は、『歴史をする』(リンダ・S・レヴィスティックほか著/吉田新一郎ほか訳)で紹介されたような、暗記主義を脱する教育への入り口です(まだ入り口です!)。3年前に発表されて以来、教育界において「質問づくり」が大きなムーブメントになってきたのは、ご承知の方も多いと思います。そんな中で注目されたのが『たった一つを変えるだけ』(ダン・ロススタイン、ルース・サンタナ著/吉田新一郎訳)でした。

私は日本の歴史学関係の大学・高校の有志の方々と、もう20年近く歴史教育の改革にとり組んできました。新指導要領の歴史に関する部分はその成果です。そうしたとり組みの中で行われてきた全国各地の研究授業で『たった一つ・・・』の名を聞くことが多くなりました。QFT(質問づくり)を知って以来、私自身もそれを用いた授業をやったり、勤務校などで紹介したりして、その効果を確信しておりました。吉田新一郎さんから、その続編といえるこの本の翻訳への協力を持ちかけていただいたことは、望外の喜びでした。

さて『質問・発問をハックする』の内容ですが、続編という位置づけのとおり、『たった一つ・・・』で質問の作り方を学んだ上で、いかに授業を展開するか。どのような場合にどのような質問をするか。質問をする上でどのような注意をすべきか等々、具体的な方法(ハック)や事例が満載されています。それもそのはずで、この本は「何百人もの教師と少人数からなる授業研究」の実践をもとにして書かれているからです。もちろんそうした実践は、アメリカの小中高校を舞台にしたものなので、クラス規模が倍近くの日本の学校とは事情が違います。しかし、『たった一つ・・・』もそうですが、このような本は他にありません。質問を活かした授業を展開するコツや設計する際の知恵が欲しければ、この本を参考にするしかありません。実際私も、読みながらうなづいたり、「目からうろこがはがれる」ような経験が何度もありました。授業に取り入れて成功したり失敗したりして、あらためて質問を活かす良い授業というものを考えさせてもくれました。

特に私が気に入ったハック(章)は、1「質問に対して、全員の手が挙がると想定する ― すべての生徒が学習に参加することを期待しよう」、8「生徒の思考プロセスという音楽に耳を傾ける ―正解だけでなく、正しい考え方に注目する」、10「生徒のやる気のスロットルを回転させる ―生徒自身が質問できるように支援する」、11「学びの安全地帯をつくる ―生徒が挑戦できる環境を提供する」です。

問いというものは思いつきでは上手く行くことは少なく、計画的に行うことが効果を上げます。一方で、想定外の問いやその結果による混乱も生じます。そうした事態にどう対処すれば良いのか等を、この本は教えてくれるでしょう。くり返しますが、他に類書はありません!

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