2017年4月16日日曜日

とても大切なセルフ・エスティーム


私が、「セルフ・エスティーム★(自尊感情ないし自己肯定感)」という言葉と、その大切さを知ったのは、『わたし、あなた、そしてみんな』★★(国際理解教育センター・直販、1994年)の翻訳出版を通してでした。その後、その本の「わたし」の部分だけを日本での実践版として出したのが『人間関係を豊かにする授業実践プラン50』(小学館・教育技術MOOK1997年)でした。

 その約10年後には『校長先生という仕事』(平凡社新書、2004年)を書いたのですが、校長を含めてすべての教師がもっていた方がいい「リーダーシップの枠組み」を図のようにまとめました。

10数年経ったいまでも、この枠組みでいいと思っているのですが、第6章の「自分」を大切にし、磨き続けるところに言及し忘れたことがあったことに最近気づきました。
 それが、セルフ・エスティームです。★★★
 いまさら本に付け足すことはできないので(すでに、絶版ですし!)、ここに書いておきたいと思います。

セルフ・エスティームとは、「自分自身を価値ある者だと感じる感覚のことです。自分自身を好きだと感じ、自分を大切に思える気持ちのことです。 自信と言っても良いでしょう。」★★★★ 自分勝手、自慢好き、自己中心とは違います。

それでは、セルフ・エスティームはどうして高められるのか? その具体的な方法を紹介します。(かなり、プラス思考=positive thinkingやgrowth mind-set=しなやかマインドセットと重複します。)

1.自分一人でがんばっているのではないことを認識する ~ 自己不信や自信喪失は、当人はもちろん、周辺の人や(社会的なリーダーの場合は)社会全体に悪影響を及ぼします。そして、自信をもっているように見えるリーダーも含めて、誰もがこの自己不信や自信喪失の側面はもっており、悩んでもいます。
2.自分の強みをリストアップする ~ 特に、落ち込んだ時には威力を発揮しますし、人とつながる際にも大切です。
3.自分の弱みもリストアップする ~ そして、それを対処する/補う方法を考える。この辺は、前回の<奇跡のレッスン>のゴルフ編で紹介したように、あまり反省しすぎたり、克服したりするようには考えないようにした方がいいでしょう。それは、自己不信や自信喪失につながってしまいますから。そうではなくて、自分以外の人に弱みの部分を助けてもらったり、補ってもらったりする方が誰にとってもいいです! あるいは、自分の強み=得意で補う、とか。
4.自分の及ぼした影響や達成したことをリストアップする。
5.強みをさらに伸ばす/磨く ~ 自分が得意なことで輝けると(評価してもらえると)自信につながる。 絵本の『てん』のワシテを思い出してください! 彼女は確実に描くことを好きになり、かつ展覧会を開けるほどにうまくなりました。
6.まあまあの部分を補強して、強みに転換していく ~ 間違っても、弱みを矯正することには努力しない(時間とエネルギーがかかりすぎるだけでなく、無駄な努力→自信喪失に陥る可能性大なので)。 ゴルフ編のコーチ流に言うと、「まあまあの部分」=「ギリギリセーフ」のレベルです!
7.気前よく自分の強みや知っていることをシェアする ~ 「成長すること」と「秘密にしておくこと」は馴染まない! 自分にとってはもちろん、周りの人にとっても。共有してしまえば、自分はさらにストックを増やすように自分を追い込むことにもなる。それが教えるということ?! 教える人は常に学ぶ人の数歩先を歩き続ける必要があるので。間違っても、教科書レベルで満足していいはずはない!
8.周囲の人たちのセルフ・エスティームを上げる手助けをする ~ 周りの人の強み/プラス面を見出し、それを共有したり、それから学んだりことで、関わる人みんなが得をする! きわめて良好で、プラスの雰囲気や関係を築ける。
ここでも思い出すのは、絵本の『てん』です。主人公のワシテのセルフ・エスティームが上昇したことで、周りのたくさんの人が恩恵を受けました。とくに、まっすぐな線が描けなかった男の子(続編の『っぽい』の主人公のラモン)は! このサイクルが回り始めたのは、先生のユーモアいっぱいの助けがあったればこそ、でした。彼女は、相当のセルフ・エスティームの持ち主?
9.解決に焦点を当てる ~ 問題があることを嘆くのではなく(あるいは、放置するのではなく!)、自分たちが置かれている状況や自分たちのスキルや知識を良くしたり、伸ばしたりするためのチャンスと捉える。それは、「現状維持」思考から「成果」や「結果」思考に転換すること。前者からは、何も生まれない! =「ゆで蛙」現象の中に自分がいることすら気づけない!
10. セルフ・エスティームは、他の誰かが提供してくれるわけではないことを認識する ~ 自分でつくり出すしかない! ワシテが、たくさんの「てん」を描いたように。たとえ、きっかけは先生が与えてくれたとしても。その意味では、単に展覧会を開いて終わりではなくて、ワシテがラモンにしたように、次に何をするのかこそが問われる!


★「セルフ・エスティーム」で検索すると、たくさんの情報が得られます。たとえば、「セルフエスティームが高い人の12の特徴」など。http://minimalist-fudeko.com/self-esteem/
★★ これの方が、アプローチとして日本の道徳教育よりもはるかにいいということで、翻訳出版した本です。タイトルの「わたし、あなた、そしてみんな」は道徳の4本の柱のうちの3本です。(残りの一つは、かなり神がかっているので扱うのが難しいです。宗教教育や環境教育として取り扱った方がいい気がしています。)教科化した道徳は、ますます子どもが学ぶのにも、教師が教えるのにも楽しくないし、身につかない方向に行っています。「説くこと=教えること=学んだり、身につけたりする」ではないことを、道徳を教科化する人たち、学習指導要領を書く人、教科書をつくる人たちは、知らないのでしょうか? (それは、教師や子どもたちを苦しめるだけ!?)
★★★ 言葉は使っていませんが、そのニュアンスは本に書かれている内容でも、十分に伝わっているとは思います。しかし、真正面からそれを扱う必要性を感じたので、今回書き込みをする決断を下しました。


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