2026年3月1日日曜日

『インストラクショナル・コーチング 授業と学校を変革する教師の最強パートナー』が発売

 PLC便りでもたびたび紹介してきたインストラクショナル・コーチングに関する本が出版されました。ジム・ナイト著『インストラクショナル・コーチング: 授業と学校を変革する教師の最強パートナー』(https://www.amazon.co.jp/dp/4810067955)です。★ インストラクショナル・コーチという職業自体まだ我が国には存在していませんし、インストラクショナル・コーチングに関する書籍は、同書が日本初とのことです。


インストラクショナル・コーチングとは何か?なぜ、導入するのか、今一度その意義を考えてみたいと思います。

コーチという言葉はスポーツなどで日常的に目にしますが、近年、普及してきた人材開発やコミュニケーション手法としてのコーチングについては、まだまだ馴染みがない人も多いのではないでしょうか。このコーチングのポイントは、コーチは、答えを授ける人ではなく、クライアントが自ら答えを見つけ出すプロセスに、対話を通じて関わるということです。

インストラクショナル・コーチングの中核にある考え方に、「パートナーシップの原則」があります。この中に、従来の方法とは決定的に違う考え方を見出せると思います。本書の第一章に次のような一節があります:

「パートナーシップの原則を採用しようと思ったら、まず自問してください。「私は、ほんとうに権限を捨てる覚悟があり、躊躇せずできるのか」「私はほんとうに、自分と共に成長する教師に、彼らが授業でしようとすることを任せられるのか」、自分自身の考えや言葉、行動を深く吟味して、これらの質問に答えてください。ビデオを撮るのは、このようなタイプの学びに最適です。録画を観ればコーチングにおける会話がつぶさにわかりますし、自分が話したりアドバイスをしたりするよりも聴こうとしているかや、問いかけることと伝えることのバランスがとれているかが、わかるからです。

 パートナーシップは、逆説的だと思われるかもしれませんが、私たちが他者に影響力を行使しようとしなくなればなるほど、より大きな影響力をもつことになるのです。」(pp.50-51)

このような考え方を、明確に打ち出した、教員の研修やワークショプはこれまでにあったでしょうか?

筆者ジム・ナイト氏は、「結語 コーチングと豊かな人生」の中で、「私は、インストラクショナル・コーチ以外の職業についている自分の姿を想像することができません。(p.234)」とまで述べています。コーチの行うほとんどすべてのことが、価値ある豊かな人生と関係していると確信しているからだと言います。

いま学校は、多くの課題を抱えて疲弊しています。さらには、探究的な新しい学びへの転換、学習の個別化の推進など、新しいテーマも目白押しです。

そのような中で、さまざまな問題や課題と向き合いながら、学び成長していってほしい。教師として、豊かで価値ある人生を送ってほしい。そのための、学びと成長の機会を提供するのがインストラクショナル・コーチングだと思うのです。

本書の表紙カバーの折り返しには大きく「あまりに孤独で多忙な教師の仕事」と書かれています。それに対して「教師と共に成長しようとする新しいリーダー像は、日本の教育に変革をもたらす、最後のピース(希望の光)となるでしょう!」と結んでいます。

インストラクショナル・コーチングが、日本の教育を変革していく、希望の光になるか、ぜひ、一緒に考えていきたいと思っています。


◉本書を使ったブッククラブやワークショップを企画中です。具体的な企画が、決まりましたら、お知らせします。


★ ジム・ナイト著(蘆田亮介・長﨑政浩・吉田新一郎訳)(2026)『インストラクショナル・コーチング: 授業と学校を変革する教師の最強パートナー』図書文化社.

[原著 Jim Knight (2022) The Definitive Guide to Instructional Coaching - Seven factors for success, ASCD.]