2023年10月8日日曜日

「一人ひとりをいかす評価」は生徒だけでなく教師も育てる

個別最適化が求められていますが、生徒たちの学びを個別最適化するためにはどのような理解が必要なのでしょうか。最近、再読した以下の本がとても理解を助けてくれる効果的な本でしたのでここに紹介します。

  

C.A.トムリンソン, T.R.ムーン (), 山元 隆春山崎 敬人,𠮷田新一郎(訳)

『一人ひとりをいかす評価学び方・教え方を問い直す』 北大路書房(2018/9/7)




 

形成的評価は学習者の成功だけでなく教師も成長させてくれる

 

形成的評価を学習の中心に据えることは、生徒が成績や順位にとらわれることなく学習と成長に注目することができるようになります。生徒たちは成績よりもフィードバックに価値を見出すようになり、教師からもらったコメントの再読と自己評価を促進します。それに基づく教師のより具体的なアドバイスやコーチングが学習者の成功の源となっていきます。こんなに効果的な形成的評価、これを使わない手はありません。

 

それだけではありません。形成的評価は、生徒のみに効果があるものでは決してありません。ローナ・アールは形成的評価を「学びのための評価」と「学びとしての評価」という2つの側面から定義し、教師と生徒の双方が評価の情報を活用して学習や指導を最適化することが強調されています。また、ジョン・ハッティの研究やブラックとウィリアムの指摘によれば、形成的評価は特に学習に苦労している生徒に対しても良い影響を及ぼします。教師は形成的評価のデータを活用し、指導の効果や改善点を見つけることでプロフェッショナルとしての成長を促進します。つまり、自分の授業スタイルの省察を促すため、教師にとっての成長と学習の方向性を示す貴重なツールともなるのです。

 

 

 

形成的評価は自立した学習者を育てる

 

形成的評価は、生徒を中心に据えた評価であり、単に教師から生徒への一方通行の評価ではありません。学校の主要な目標は、生徒が自立した学び手として成長することです。自立した学び手とは、学習の目的や目標を理解し、必要なリソースを活用し、自分の進捗をモニタリングし、必要に応じて学習の調整や評価を行い、最終的に目標の達成度を確認できる生徒のことを指します。

 

自立した学び手になるためには、教師からの適切な支援が必要です。この支援を通じて、教師もまたメタ認知的な視点を持つことができ、教えるプロセスを深めることができます。教師は、学びの目標、その価値、成功の基準、生徒の自立した学びのレベルの評価方法、そして生徒の更なる成長を支援する方法を明示する必要があります。

 

そのための指導計画を立てるには、学習中の評価から得られる情報をうまく活用することが重要です。この活用は、評価のデザインだけでなく、もっと広くカリキュラムデザインを考慮することから始まります。形成的評価に基づく理解と計画の2つの要素は、評価の運営前から重要となります。この2つの要素とは、目標の明確化と指導の流れの理解です。

 

 

「目標の明確化」と「指導の流れ」で一人ひとりをいかす評価をつくる

 

形成的評価を効果的に活用するためには、目標をはっきりと定義することが必要です。同時に、目標達成の基準を指導開始前に生徒に伝えることも大切です。明確な目標は、適切な内容の選択、学習活動のデザイン、そして評価の開発や解釈といった点で役に立つからです。

 

指導の流れを理解することは、カリキュラムデザインの担当者や生徒の違いによって、学習の流れも異なることを意味します。生徒の興味や学習履歴は多様で、習得する順序も異なります。したがって、指導の流れや進度を正しく判断する基準を考察することが必要です。指導の流れを深く考えることで、教師は生徒が特定のスキルや知識を効果的に学ぶ順序を理解し、自身の指導方法を反省することができます。

 

すべての生徒が同じ速度や方法で学ぶわけではありません。設定された目標に対して、生徒がどのような学習成果を示しているか。学習のループの中で、どの段階に位置しているか。指導の流れの中で、どの部分の学習に取り組んでいるか。それらを明確にする必要があります。

 

 

 

評価は、生徒を単に分類する手段や学習の妨げとなるものではなく、学習を如何に促進すべきかを判断するためのものです。重要なのは、学習者として、そして一人の人間として生徒を理解し、彼らの個性や能力を最大限に活かすことです。教師が生徒に関する深い知識と、何を学ばせるべきかについての明確な知識を持っていれば、それぞれの生徒の特性を活かし、効果的な指導が可能となるからです。形成的評価は生徒だけにおわらず、教師自身の授業のあり方を見直すきっかけを与えてくれるのです。

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