2022年4月17日日曜日

learning, unlearning, and relearning

  教員養成大学で教えている教授から、以下のメールをもらったことが、上の三つのlearningについて考えるきっかけを与えてくれました。すでに、最初のlearningよりも、その後の二つのunlearningrelearningの方が重要な段階に入っているように思うからです。

私が日本の教育で脱却すべきは教科書中心主義だと思っています。教師自身がオリジナル教材をどんどん工夫すべきです。国際バカロレアをはじめ、海外では検定教科書がない分、教師自身が生涯学習者たり得ます。団塊の世代が抜けて、若手教師ばかりになり、しばらくは教科書を使ってしっかり授業できるようにはなってほしいです。が、3年目くらいからはオリジナル教材が作れるようになってほしいです」

あなたは上の文章を読んで、どのような感想・印象、疑問・質問をもたれましたか? ほんとうに、この教授が書いていることは実現するでしょうか? 実現させるために、養成課程ですべきことはなんでしょうか? 現職研修ですべきことは?★

 あなたは、養成課程や現職研修で、自分が生涯学習者になるためにどのようなサポートを受けましたか? 何を学ぶべきかの情報提供は結構あった/あるかもしれませんが、どう学ぶのかに関しては決定的に欠落しているのではないでしょうか? (この点は、最初に紹介した大学の教授の盲点にもなっています。「何を」(教科書を含めて「教材」)ばかりにこだわりすぎるのが日本の養成課程であり、授業であり、現職研修の特徴です! あたかも、教材以外に考えるものがないかのように。「どう」学ぶかの広がりがないので、アクティブ・ラーニングも、個別的な学びも協働的な学びも、20年前の「指導と評価の一体化」もいっこうに実現しない状態が続きます。これも、次に紹介する「unlearn, and relearn」の欠落に原因があります。

未来学者のアルビン・トフラーは大分前(確か、『未来の衝撃 : 激変する社会にどう対応するか 1970年の中で!?)に、「21世紀における無学な者とは、読み書きができない人ではなく、学べない人、間違って学んでしまったことを捨て去れる人、そして、学び直せる人である」と言いました。原語では、「learn, unlearn, and relearn」です。最初の、学べないというか、継続的に学び続けられない人であることは、すぐに納得できますが、後の二つは、世の中の変化が加速化するなかでは特に重要になります。そして、これら二つの大切さはわが国(特に、教育界)ではまだ認識されているとは言えません。

 これら三つの学び方を実現するための方法にはどんなものがあるでしょうか?

1.マインドセット(見方・考え方)を変える

 イギリスのある教育学者が、「すべての教師が、自分たちは教え方がよくないからではなく、さらによくなれるから改善し続けると思えるようになれば、私たちが達成できることに限界はない」と言っていました。

 今の世の中で「unlearning relearning」が求められているのは、教師だけではありません。多くの人が、これが当たり前の状況なりつつあるのです。生徒の場合は、とくに従来の教科書を覚えることでいい成績を上げていた者が、従来の教科書/教師中心の学び(正解あてっこゲーム)から、探究/プロジェクト学習やワークショップによる学び方にシフトすることによって、真の意味で「learn, unlearn, and relearn」することが求められます。そのためには当然、教師もその体験者である必要があります(というか、「learn, unlearn, and relearn」のサイクルを何度も回し続けている人であることが! もはや、教科書をカバーすることで教えているとは言えない時代です)。

2.以前ほど生徒を助けない(手を差し伸べない)

 教師としてのアイデンティティー(仕事)として、これまでは生徒たちを助け、答えを提供し、問題を解決してきましたが、それをすることで、自分たちが他の人から学べるチャンスを失うと同時に、他の人が学ぶ能力を身につけるのを奪ってきました。これまでのように救済するのを控え、自分の役割と採用する方法にもっと戦略的になる必要があります。

 私たちは、生徒の問いに対して「答えを分かりませんが、あなたと一緒にぜひ学びたいです」と言える勇気をもつ必要もあります。そして、自分が教えたり、話したりする時間を減らし、生徒の言うことに耳を傾ける時間を増やす必要があります。

3.たくさんの質問をする

 これは、従来の自分がすでに答えを知っている発問ではなく、自分も答えを知らない問いを発することを意味します。そのためには、自分の好奇心★★や想像性・創造性を活性化させる必要があります。(教科書をカバーする授業によって、それらはほとんど萎えてしまっている可能性が高いですから!)

 あなたが、「unlearning relearning(間違って学んでしまったことを捨て去ったり、学び直したり)」する重要性を認めたとして、何を捨て去ったり、学び直しが必要だと判断するにはどうしたらいいのでしょうか?

 

★ 最初から教科書なしで教えられるように、養成課程でしっかり体験していないとダメです!(それが言い過ぎなら、教科書を参考書程度に使いながら教えられるように、より楽しい、生徒たちがイキイキする授業ができるようにしないと、いったい教師になってから、どこで、それを体験して、そんな教え方自体があり得ることを知るのでしょうか?)体験するには時間がかかりますし、その体験を自分のものにしていくにはさらに時間とサポートが必要です。

★★ この好奇心を失ってしまってしまった集団としての教育に従事する人たちという側面が否定できません。教科書(あるいは、それに代わる何らかの「教材」)がすべてだと、正解を教える側はすでにもっていることになりますから、好奇心が満たされた状態というか、消えてしまった状態を意味します。教師が正解をもっていない状態でこそ、好奇心や想像性・創造性は発揮できるのです! これらを萎えさせず、維持し、活かすための最適の本が『「おさるのジョージ」を教室で実現 ~ 好奇心を呼び起こせ!』『教育のプロがすすめるイノベーション ~ 学校の学びが変わる』ですので、参考にしてください。

参考:https://www.edutopia.org/article/3-keys-evolving-lifelong-learner

 

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