2022年4月10日日曜日

親ともいっしょに保護者会をつくろう

前回、「先生同士で学年開きをやろう★」では、先生たち同士が気軽に話し合える関係性を築き、子どもたちをどんなふうに育てていきたいのか、願いを共有することから始めるために、新学期に向けた「先生同士の学年開き」を紹介しました。

 

PLC便り「先生同士で学年開きをやろう」

http://projectbetterschool.blogspot.com/2022/03/blog-post.html

 

今回は、その保護者編です。私たち教師が悩まされもすれば、励まされもするのが保護者との関係。子どもたちの教育に親が効果的にかかわることは、その場しのぎの教育改革よりも確実に変化をもたらす可能性を持っています。子どもたちを育てるために、一緒に支え合っていくのが学校と家庭。新年度に、その関係性づくりをしていきましょう。

 

膨大な学級事務と新学期準備に追われた4月の始め。そのままの勢いで保護者会に突入してはもったいないものです。子どもたちの成長へとつながるように年間を見通し、保護者と教師、保護者同士がどのように関係をつくれるか計画が必要です。

 

年度が進むにつれて、1学期はほぼ100%に近かった保護者会でも(PTAの役員決めがあるから!?)、年度が進むにつれて参加率は一気に下降し、ほんの数人の年度末。どうして参加人数が減っていくのでしょうか。単に保護者会がつまらない、または刺激を受ける場になっていないからではないでしょうか。配れば済む資料を読み上げること、学校で困っていることの報告事項など、そんな話を聞かされ続けてくれば、保護者会自体にわくわく期待するどころか、PTA役員の決める場程度しか認識されなくなり、それはとても残念なことです。

 

私の学校では保護者全員と一同に会するのは1学期に3回、2学期に2回、3学期に2回の計7回です。7回も一緒に活動ができる時間があるのです!年間を通して保護者の願いとコミュニケーションを深める練習のチャンスと捉えてみませんか? 一年間終わる頃には全員が仲良くとまではいきませんが、お互いを知り合い少し緊張がほどけて話し合える関係に進むものです。それが保護者との協働のベースとなり、日常の子どもへの関わりや学びの支えの授業の素地となっています。

 

1回目の保護者会は、PTA役員を決めたり、年間の学習計画を伝えたりやることも多く、じっくり時間をとることが難しいものですがやってみる価値はあります。ウォーミングアップに「4つの窓で自己紹介」(A4用紙を4つに折りにしたそれぞれの部屋に「子どもの頃呼ばれていた名前」「私のスキな○○」「我が子のいいところ、すごいところ」「今年、子どもたちに成長してほしいこと」)で4人ほどで一つずつ紹介し合い、話しやすい雰囲気をつくります。その後のPTA役員決めも毎回がスムーズとまではいきませんが、温かい雰囲気の中で進められていきます。そこで出てきた「子どもたちに成長してほしいこと」集めておいて、今度に話し合うテーマの一つとし、引き続き次回の保護者会からでも、子どもの成長のために親ができそうなことを考え合っていきます。

 

ここ数年、コロナでオンラインの開催となることが多かった保護者会ですが、社会状況に応じて柔軟に対応していきましょう。大まかな流れは毎年以下のようになっています。

 

 1回目「4月の保護者会」:顔合わせ、自己紹介、子どもたちへの願いづくり。

 2回目「6月の土曜参観」:保護者同士で課題解決のアクティビティで関係づくり「タマゴ星人救出大作戦~大火事編~★」、子どもたちへの願いの合意形成

3回目「7月の保護者会」:保護者からの願いを活かした、夏休みの関わり、できそうなことリストづくり

4回目「9月の保護者会」:夏のふりかえり、課題解決のアクティビティで関係づくり「パイプライン★★」


★★甲斐﨑 博史『クラス全員がひとつになる学級ゲーム&アクティビティ100』(ナツメ社)にある協力するアクティビティがオススメです。


 5回目「12月の保護者会」:冬休みの関わり方、傾聴練習、

 6回目「1月の保護者会:冬休みの様子、子どもたちの学習経験(自主学習ノートなど)

7回目「3月の保護者会」:親子で一緒に活動、そのふりかえりと一年間の願いと成長した点や課題点

 

もちろん毎回の保護者会では、学習の様子や生活の様子など子どものエピソードを踏まえて紹介しますが、必要な連絡事項も含め、あまり長すぎないようにします。PTA役員さんからは事前に伝えて欲しいことは書面にして教えてもらうとスムーズに進みます。

 

このように、保護者からの願いや親同士のコミュニケーションをねらいとしただけではなく、本質的な学び、親と教師が「読み・書き」を含めた多様なワークショップを毎月、組織する取り組みもあります。それらは親同士の一体感を強めるだけではなく、親自身の学びへの情熱を新鮮なものにしてくれます。ワークショップの学びで親と教師が学び会う学びの場をつくる実践は『ペアレントプロジェクト★★★』にその詳細が紹介されています。ぜひ参照してみてください。


★★★ジェイムズ ボパット(著)・ 吉田 新一郎他 (翻訳)『ペアレント・プロジェクト学校と家庭を結ぶ新たなアプローチ』(新評論)

 

私も、10年ほど前は保護者と読書ワークショップを月1回開催していました。みんなで同じ本を読んで感想を述べ合うブッククラブと読んだ本をブログで紹介しあうリレー方式の読書ブログに数年、取り組みました。


それまでは保護者対応に終われて見えなかった、子どもたちの成長の支えとなってくれる保護者との出会いがたくさんありました。その経験は今でも宝物です。新年度が始まります。保護者との協働をいかにつくるか、ぜひ取り組んでみてください。

 

親は、子どもにとって一番最初の先生であるばかりではなく、実践を通しての先生でもあり、生涯にわたって影響を与え続ける存在です。臆せず、つながっていけるといいです。

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