2019年12月22日日曜日

新刊『だれもが<科学者>になれる!』



 サブタイトルは、「探究力を育む理科の授業」ですが、探究の授業に興味のある方には必読の本です。探究の本質がわかる内容になっているからです。それを図で表すと、次のようになります。

 この図を記憶にとどめたうえで、4人の読者(この本の下訳を読んだ協力者=「科学者の時間」に取り組んでいるメンバーたち)の感想をお読みください。

◆井上太智さん(元公立中学校の理科教師、今年度から私立小中一貫の教師)

すべての子どもは科学者である ~ そういわれて素直に頷けるでしょうか?
あなたの生徒たちは、理科を暗記教科だと勘違いしていませんか?
もしくは、実験をレシピの決められた料理のようにこなしてはいませんか?

もしそうだとしたら、教師であるあなた自身の授業がそうさせているのです。
まさか、すべての子たちが、教科書と同じ順序で、同じペース、決められたやり方で学んでいるなんてことはありませんよね?

その時、学ぶべき内容は生徒一人ひとりの心の中(問い)にあるものです
しつこいようですが、質問を続けます。

あなたの授業では、教師が想定していたこと以外のことが起こりますか?
それに感動したり、新たな発見があるでしょうか?

極めつけは、
実験の失敗に「よーし!燃えてきたぞ!」とワクワクするような子たちが育っているでしょうか?

科学者は学び、探究する足を止めないのです。
たくさんの質問をしましたが、いずれも簡単ではないことはわかっています。
しかし、私たち教師がまず新しい授業への一歩を踏み出すべきではないでしょうか?

この本には、そのためのヒントがたくさん詰まっています。そして、科学者としての子どもたちの姿がそこにあるのです。

これから、あなたと出会うたくさんの子どもたちが「科学者」としての本来の力を発揮することを祈っています。
そして、教師であるあなた自身もそのうちの一人です。
一緒に探究の旅をはじめましょう!


◆青木孝史さん (私立中高一貫校の理科教師)

まずは、臨場感が素敵です。本を読んでいるだけで、ピアス先生の
教室に座って、自分も授業に参加しているような気持ちになりました。
これが、自分が「科学者の時間」の取り組みをしているからなのか、
それとも、理科の教員だからもつ気持ちなのかは、わかりませんが、
とても不思議な気持ちでした。

あと、生徒を一人の人間としてみることの大切さを感じました。
定期購読している「教育」の最新号が
『学校スタンダードと無寛容(ゼロトレランス)』という特集でした。
ななめ読みしかしていませんが、生徒を一人の人間として扱い、
勝手に、「小学生はこんなものだろう」という決め込みをしない
ピアス先生のような授業をすれば、たちどころに、これらの問題が
解決するように、思えました。
ただ、全国の先生方が、ピアス先生のような立ち位置になることは、
簡単な事ではないと思います。できることから始めて、世の中を変える
初めの一歩を踏み出したいと思いました。

また、選書の重要性も感じました。「科学者の時間」のメンバーに
すすめられた『生命と燃焼の科学史』『植物はなぜ動かないのか』
『バッタを倒しにアフリカへ』『生物と無生物の間』も、とても
面白かったです。
こうした本をどんどん知ることで、理科室の書棚を充実させ、
読書から探究にも、行けそうな気がします。

また、ピアス先生の実践を真似しやすいように、記録を残している
ことにも驚きました。少しずつ改変しながら、明日からの授業で
使えそうなワークシートがたくさんありました。
「子ども探究学会」の進め方も同様です。
同じ志を持っている人であれば、読むだけでそのピアス先生と
通じ合えること間違いなしだと思います。


◆梅健さん(元公立中学と高校の理科教師、現在小学校の教頭 ~ 理科の授業はしている)

・多様な実験方法を学びました。
・植物育成用のライトがあることを知りました。日本でも2~3000円で買えることがわかりました。来年から使いたいと思います。
・ミールワームを使って実験できそうです。
・生物の調査をやります。
・以前勤務していた高校では、敷地内の生物調査をして、記録を付けていました。これをやります。
・発見ボックスをつくる。電磁気学の発見ボックスを作れたら最高です。


◆内山智枝子さん (私立の高校の理科教師)

・読み終わって一番自分の中に広がる思いは、生徒は科学者であることを認めるだけでなく、共に探究を楽しむ同志でありたいということです。生徒と教師で肩書は異なりますが、自然の事物や現象と向き合う気持ちや能力において、どれだけ差があるというのでしょうか。教師は少し先を生きて、少し物事を知っているに過ぎません。失っているものもあります。しかし私自身、私たち教師自身が能力の限界を暗示されるような教育を受け、同じように目の前の生徒を限界のある存在として扱っているのだと思います。一条校に勤務する自分が置かれている状況を知る為に、次期学習指導要領が何を目指しているのかを多少探り、比較を意識しながら読みました。『だれもが<科学者>になれる!』との一番の大きな違いは、子どもは子どもであって、教師を超えることがない、という前提が学習指導要領にはあることだと思います。コントロール色はそのままです。これは国として意図的に行っていることなのでしょうか? 行動だけでなく思考さえも従順な国民である方が、国にとっては都合が良い、ということなのでしょうか? 特に、評価に関しては、マインドのシフトチェンジが必須だと思います。文科省はまずは実施してから評価に関して言及するという方針である、という話がある研修会で聞きました。形だけでない探究活動を行うためには、評価方法の問い直しも同時並行で必要だと思います。評価の章、気になります。
・『だれもが<科学者>になれる!』の下訳と出会った当時、とてもつらい状況にいました。伝授型一斉講義を前提とした時間割が組まれ、伝統的な評価方法が求められていたからです。だからと言って、完全に諦めるつもりはありませんでした。『だれもが<科学者>になれる!』に励まされたからです。
・校種が違っても、具体的に導入しよう、役立てようという方法に関する情報を、入手することができると改めて思いました。
<内山さんは、この後、自分の実践を某出版社が主催する実践記録の募集に提出し、みごと特選を受賞しました! この件については来月紹介します!>

 ちなみに、ピアス先生の実践は小学校5年生を理科の授業を対象にしたものです。しかし、上の感想から読み取れるように、中高の先生方が大いに刺激を受けていますし、他教科(国語、社会、算数・数学はもちろん、専科も)の先生が読んでも得るものはきわめて大きいです。
 教師が教えたいこと(教えなければならないこと)と、生徒がよく学べること(主体的に取り組んで、身につけること)のバランスを考えさせてくれ、それを実現するための手立てが満載だからです。

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