2016年10月2日日曜日

授業改善を促す学びの共同体(PLC)


4週間前のPLC便りでは、校長のサーバント・リーダーシップとPLC及び授業改善との関係が取り上げられ、さらに2週間前には、サーバント・リーダーになるための方法が紹介されました。

今回は、教師個々の授業改善に直接の影響を及ぼす学校内のPLC・教師同士の学びの共同体について、考えてみました。

 PLCを形成・構築し、さらに活性化するための条件は、大きく分けて次の4つであると思います。

1 PLCを支える学校組織風土・学校文化の醸成
2 ビジョンの共有
3 授業実践や学習に関する情報共有
4 チームによる学びの推進

 この中の1に関する実践について、私自身の学校現場での経験に基づいて、紹介します。

 教師同士の学びの共同体PLCが形成されるためには、まず、その土台として次のような「学校文化・学校組織風土」が醸成されていることが必要です。
① 教職員一人一人、子どもたち一人一人が、「かけがえのない存在」として大切にされている。
② 初任者やベテラン教師、管理職を含め、良い意味でお互いに何でも言い合える「温かく受容的な人間関係・雰囲気」がある。
授業改善などに関する新しい取り組みやアイディアを受け入れ、「試行錯誤」したり「チャレンジ」したりすることが奨励されている。
教師一人一人が、自分の担当する学級や学年の子どもたちのことだけでなく、学校全体の子どもたちのことを考え、子ども一人一人の「成長と学びに対する責任」を意識している。
⑤ 困っている教職員がいると、学年や教科、分掌を超えて「情報提供」をしたり、親身になって「相談」に応じてくれる仲間がいる。

 以上のことは、それぞれが学校教育を進めていくうえで、「当たり前のこと」「常識」「基本的なこと」であると思われることです。

 しかし、実際の学校現場では、これらの学校教育の「常識」「基本」「当然のこと」と考えられていることが、なかなか実現されていないことが、往々にしてあるのです。

◆学校に勤務する誰もが、学校教育を担う一人のメンバーとして、子どもたちのために、学校のため、誰かのために役に立っているという教職員としての「自己有用感」をもって、日々の教育活動にあたりたいと思っているはずです。そして、教職員一人一人に、「私たちの学校」「うちの学校では」という我々意識、つまり、学校に対する「所属感・帰属意識」をもってもらえるようにすることが、授業改善に直接つながるPLCの形成・構築にとっても、極めて重要なことです。

■私は、校長のときに、学期ごと(正確には、7月、10月、12月、3月の年4回)に、事務職員や栄養士なども含めた教職員全体で、「ありがとうカード」という構成的グループ・エンカウンター(以下、SGE)のエクササイズを実施していました。目的は、教職員一人一人の「自己有用感」を育て、「教職員同士の温かな人間関係」を創ることです。

このエクササイズは、ご存知の方も多いと思いますが、教職員それそれが、その学期をふりかえり、他の仲間(同僚:先輩・後輩、管理職)とのそれまでの「かかわり」を思い出して、仲間からの「言葉かけ」や「してもらったこと」、「助けてもらったこと」、「嬉しかったこと」などを、一人につき1枚ずつ「ありがとうカード」に書いていくのです。そして、そのカードを、「ありがとう!」「ありがとうございます!という感謝の言葉と一緒に仲間に手渡しするというものです。学級担任のときは、もちろん、このエクササイズを自分のクラスで、学期ごと、さらに学校行事の「ふりかえり」として行ってきました。

■もう一つ、年度の途中10月から、私が校長として勤務していた学校に初めて赴任してきた転入職員(学級担任としての経験もほとんどない講師)が、学校のシステムや子どもたちの実態を早く知り、学校教育を推進していく大切なメンバーの一人として、見通しをもって、不安なく学級担任として、力を発揮してもらうために行ったことがあります。

それは、毎日、放課後30分程度、学年職員全員(といってもわずか3名の学級担任、うち一人は初任者)が校長室に集まり、学年主任(校内事情で10から初めて学年主任をすることになった30代前半の教師)が中心となって、その日の各学級担任の「ふりかえり」と「明日の授業実践や学年の動き・学校行事の確認」を行い、転入職員からの質問を受けて、わからないことや不安なことがないようにするというものでした。

校長の私は、自分の椅子に座っていて、たまに私がわかないことを質問する程度で、ほとんど見守っているだけでした。校長室での放課後の毎日のこの取り組みは、1カ月ほど行いましたが、その後は、学年職員だけで転入職員の教室や学年主任の教室で継続して、年度末まで行われました。

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