2016年9月25日日曜日

博物館の日


先日の三連休でシンガポールに行ってきました。

National Gallery Singaporeという美術館を見学したのですが、ここは旧裁判所と旧市庁舎の建物を改装して昨年11月にオープンした施設です。展示されている美術品も素晴らしいのですが、かつての裁判所などの建物をうまく活用していて、それ自体が一つの美術品のようなものでした。
 
 旅行記はそれぐらいにして本題に入りますが、その美術館の中を歩いているときに、ふと思い出したのが、かつてここでも紹介した『イギリス教育の未来を拓く小学校』(大修館書店2015)の中の「博物館の日」の一節でした。 

この学校のサイモン先生が自分のクラス(6年生)で、下級生と博物館を一緒に訪問する活動を計画しました。その訪問では下級生に6年生が活動を提供するというプログラムです。子供たちは「理科」と「歴史」に関連する活動を考え、放課後、博物館の学芸員に連絡を取り、自分たちのアイデアが実行可能で、使いたいと思っているものが利用可能かどうかを確認するのです。訪問当日、サイモン先生のクラスの子供たちは下級生のために資料を配ったり、活動の説明をしたり、案内をしたりと、すべて彼らだけでやり遂げたのです。

その結果、この活動に参加したすべての人が満足し、大成功をおさめたそうです。 

この活動終了後、インタビューを受けたサイモン先生のクラスの子供は「初めてミル・グリーン博物館に行ったとき、『聞いて学ぶ博物館』だろうと思っていました。でも、関わり始めて、面白くてわくわくするところだと気づきました。・・・」(同書78)

このように博物館の利用もただ見学して説明を聞くだけでなく、子供自身が自ら学びの主体となる学習の場とすることもできるわけです。この考え方は学校の教育活動の様々な場面で応用できるものだと思います。確かに、教科書に頼る授業をやっているほうが教師にとっては手間もかからず楽です。それでは、「学びから逃げていく」子供たちを減らすことはできません。それが学校内外で様々な問題行動を引き起こしていることはみなさんご存じの通りです。

では、何から手をつけるべきか。まずは本を読むことをお薦めします。

カリキュラムをベースにした授業を作り上げていくためには、教師自身の幅広い教養が必要です。もちろん教科の専門性も必要でしょう。それと合わせて「教養」が大切です。

子供たちがわくわくするような授業を作るためには、時にはその教科だけではなく、いくつかの教科を横断するような学習を構想する場面があると思います。そのようなときに日頃の読書からのヒントや示唆が役立つのです。自分一人で、読書を続けるのが苦手な人は、数人のグループで読書会のような形で進めるのもよいのではないでしょうか。

 

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