2016年6月19日日曜日

アクティブ・ラーニング=生徒中心の授業 ?


 教育の世界では、「子ども中心の学び」「子どもたちが主役の学び」は長年言われてきています。デューイ、モンテッソーリ、シュタイナーをはじめ、多くの理論や実践がすでに長年存在しています。
 21世紀の教育を考えたら、それを本当に実現しないとおかしいと言わざるを得ません。すでにそれが言われだしてから、百年以上が経つのですから。
 遅ればせながら、日本でも「アクティブ・ラーニング」が2~3年前から急に言われ始めました。これからは、それが主流だと。
 でも、要するには、「子ども中心の学び」「子どもたちが主役の学び」をカタカナで言い換えただけですね?

 あなたの授業のアクティブ・ラーニング度=生徒の主役の学び度は、次のような質問に答えることで明らかにすることができます。対象が、小学1年生であっても大学生であっても(さらに言えば、幼稚園児でも教師を含めた社会人であっても)。

     クラスの生徒たちは、敬意をもって接せられ、大事にされていると感じ、クラスの一員という感覚をどの程度もっているか?
     生徒たちは自分たちのクラスをどれだけ自分たちのものと思っているか? 時間や環境や教材の使い方について、どれだけ意思決定にかかわっているか?
     生徒たちは自分たちのオウナーシップをもっているか?(それとも、教師や教科書にお付き合いしていると思っているか?) 学ぶ際の形態(一人、ペア、グループ)や、プロジェクトや課題を決定する際にどれだけの選択肢が提供されているか?
     授業は教師の発問★が多いのか、それとも生徒たちが考えた質問が中心に授業が運営されているか?
     生徒たちは、自分自身や自分の考えを表現することを安心して、しかも積極的に行えているか? それとも、自分の本音や本心は教室では隠した方がいいと思っているか?
     あなた(教師)は、どれくらいの頻度で生徒たちのニーズや要求を尋ねているか? → 生徒たちの声(考えや主張)は学級運営や授業内容・方法にどれだけ反映されているか?
     あなたは、どれくらいの頻度で生徒たちの理解度を測り、その結果を教え方の修正や改善にいかしているか?★★
     あなたは、具体的に生徒を見取ったり、理解する方法をどれだけ持ち合わせているか?
     あなたの教室の座席はどのようにアレンジされているか?
     座席を含めて教室の環境づくりに、どれだけ生徒たちがかかわっているか?
     生徒たちは、クラスメイトと(それも多様なクラスメイトと)頻繁に話し合ったり、考えを付き合わせる機会が提供されているか?
     授業で教師が話をしている時間は何割ぐらいか? それに対して、生徒たちが真剣に、互いに敬意をもって接しながら話し合っている時間は何割ぐらいか? ~ あなたは、どれくらいの割合がアクティブ・ラーニング=生徒たちが主役の学びにはいいと思いますか?
     一斉指導からファシリテーションを基調にした教え方(=生徒たちたちが主役になる学び方)に移行するために、どんなことをすでにしていますか? これからどんなことが可能だと思いますか?

◆ 他に、質問項目で加えたいものが思い浮かびますか?★★★

 アクティブ・ラーニング=生徒たちが主役の学びを実践する際に、最後のポイント(つまり、一斉指導とファシリテーション)は避けて通れません。しかし、100%の一斉指導から100%のファシリテーションが求められているわけでもありません。バランスが何よりも大切です。対象や教える内容等によって、そのバランスは異なります。
 常に、教師が語って聞かせたり、説明したりすることは求められる一方で、生徒たちに発見させたり、体験したり、練習したり、考えを共有しあったりすることも求められています。

 ちなみに私も、ライティング・ワークショップとリーディング・ワークショップに出会う15年ぐらい前までは、教師の選択肢は一斉指導かファシリテーションだけだと思っていました。でも、3番目の(かつ、おそらくもっとも効果的な?)方法があったのです。それは、コーチング=カンファランスです。★★★★

  それについては、すでに『効果10倍の教える技術』の58ページ(表3を参照。より詳しくは、『理解をもたらすカリキュラム設計』)で紹介していました。

当時はまだ、そのパワーをはっきりとは認識できていなかったので、2つの間に申し訳程度に位置づけていただけですが、それからしばらくしてから日本でのライティング・ワークショップとリーディング・ワークショップの実践を通して、しっかり認識することができました。いまなら、間違いなくもっとスペースを確保して、はるかに充実した内容を盛り込みます。

この最も効果的な教え方・学び方に興味のある方は、
を参照してください。



★ 発問は、すでに答えが分かっている場合にするもの。教師がその発問をすることを止め、生徒たちに価値ある質問を出してもらい、それを中心に据えて授業を展開する方法に関心のある方は、『たった一つを変えるだけ』を参照してください。
★★ このことや、下の見取りや理解の具体的な方法に興味のある方は、『テストだけでは測れない!』をご覧ください。
★★★ ここ3年ぐらいの間に出たアクティブ・ラーニング関連の本で、こうした大切な問いが提示されている本はありましたか? ご存知の方は、ぜひ教えてください。
★★★★ そういえば、ファシリテーションにしても、コーチングにしても、カンファランスにしても、全部カタカナです。つまりは、日本で生まれたものでも、やられていたものでもないことを意味します。まだ日本語になっていないというか、カタカナ自体で理解されるようになりつつあります。教師による一斉指導だけでは効果的ではないという認識が広まってきているので(?)。なんといっても、「聞いたことは、忘れる」ですから。


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