2016年5月15日日曜日

子どもたちが理解できるように教えるには?



今回は、その第2弾で読むときに使っている理解の方法を紹介します。
読む際に何よりも大切なことは、理解することです。(他に、何があるでしょうか? そういえばありました。楽しむことです!)
誰もが認める理解や解釈とまでは言わないまでも、自分なりの理解や解釈、つまり自分なりの意味をつくり出すことが「読む」ということです。間違っても、すでに存在する誰かがあらかじめ決めた理解や解釈を覚えることではありません。あるいは、すでに存在する意味を与えられることでもありません。主体的に考えて納得した意味をつくり出すことです。
本や記事、あるいは絵や図表あるいはメディア等を理解するときに使っている方法は、以下の7つであるというのが1990年に提示されました。★

     自分や、他の読み物や、世界とのつながりを見いだす。
     イメージを描き出す。
     質問をする
     著者が書いていないことを考える(つまり、行間を読む)。
     何が大切かを見極め、他の人に説明する。
     様々な情報を整理・統合して、自分なりの解釈や活かし方を考える。
     自らの理解をチェックし、修正する。

読書好きな人は、これらを自然に使いこなしています。しかし、日本の国語教育で教わるのは、この中のどれでしょうか?★★ 他の教科でも、教科書を読むときを含めて、これらはすべて不可欠なのですが、教える/教わるでしょうか?

ちなみに、上記の7つの方法を算数に応用した本が、Math Adapting Reading Strategies to Teach Mathematics, K-6  By Arthur Hydeです。関心のある人は覗いてください。

私たちは、読む時だけでなく、書く時も、聞く時も、話す時も、つまりは考える時はいつもこれらの7つの方法を使っています。対象をよく理解するためには不可欠なので。

なお、これら7つの方法を詳しく紹介した本として、『「読む力」はこうしてつける』と『理解するってどういうこと?』がありますので、興味を持たれた方はぜひご覧ください。


★ 私が、小・中学校時代を過ごしたのは、1960年代ですから、残念ながらこれらの恩恵を受けることはありませんでした。でも、いまの子どもたちはしっかり受けているでしょうか?

★★ 学習指導要領を読むと、半分ぐらいしか扱わないことが分かります。それは、日本の国語界がまだこの理解するのに必要最低限の7つの方法を認知していないことにあります。あるいは、依然として「教材中心アプローチにこだわりすぎている」ことが原因のようです。一人ひとりの子どもにとって意味のある読み物を読むことが優先されるべきなのですが、相変わらず「すべての子どもにとって“いい”(と思われる教材)教材」を読んで解釈させることにこだわりすぎています。そんなものなどあるはずがないのに。あなたは、目の前にいる子どもたちをより大切にしますか? それとも、権威があると思われている教科書をカバーすることをより大切にしますか?


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