2016年2月14日日曜日

思考力が身につく授業とはどんな授業?

ある先生とのやり取りで、「●●を学ぶことによって思考力や人間性が育つような授業をしたい」という発言がありました。(●●は教科です)
 同じことを願っている先生は(教科に関係なく)多いのではないかと思い、この願いを実現する方法を紹介したいと思います。

 しかし、その前に、「思考力」と「人間性」は日本の教育界ではよく聞く言葉ですが、それらの意味は明快になっているでしょうか?
 文科省は、もう15年だか20年ぐらい前に、これから大切なのは「思考力、判断力、表現力」だと言ったような記憶があります。
 各学校が掲げている学校教育目標の3つか4つの一つには、「考える子」(ないし、そのバリエーション)が必ずといっていいぐらい含まれています。
 いずれにしても、何をすれば思考力が身につき、考える子を育てることができるのかは、依然としてはっきりしていないのではないでしょうか?
 ネット検索で「思考力」を見てみたら、「思考力は考える力であるが、それでは「考える」とはどんな働きであるか。 心理学では、思考という働きは、観察や記憶によって頭の中に蓄えられた内容をいろいろ関係づけ、新しい関係を作り出す働きとみなされている」とありました。あなたのイメージに近いでしょうか?

 教育の分野で、いまだに最も参考になる思考力の説明は、ベンジャミン・ブルームという人によって、もう60年も前の1956年に提示されています。一般的に「ブルームの思考の6段階」と言われています。
 それは、「暗記力-理解力-応用力-分析力-統合力-評価力」です。★
 2001年にはこれの改訂版として、最後の2つを入れ替えた「暗記力-理解力-応用力-分析力-評価力-創造力」が提示されています。★★

 いずれにしても、6段階で提示されることで、具体的に思考力を高めるためには何をすべきなのかが、かなり具体的にイメージできるのではないでしょうか? どういう投げかけや問いかけをしたら、それぞれに対応する力を育てることができる明快なので、とても便利なのです。

 最初の2つの暗記力と理解力を、一般的に低次の思考力、そして残りの4つを高次の思考力と捉えており、これまた一般的な授業では低次の思考力が8~9割を占めるのですが、よく学べる/身につく授業にするには、高次の思考力をそのぐらいに逆転しないといけないとも提案されています。

 その意味では、よく言われる「習得・活用・探究」は、その順番にやればいいというものではないということです。一般的には、習得(暗記・理解)してから、活用(応用)し、その上で探究(分析、評価、創造/統合)するものだと思いがちです。しかしながら、私たちは一番上ぐらいに位置づけられている評価から入ってしまうケースが結構多いのです。大人はもちろん、子どもたちも、です。要するに、これは自分に本当に価値があるのか?役立つのか?を瞬時に判断してしまい、もし答が「ノー」の場合は、適当にテストぐらいまでは「お付き合い」しますが、その後までは・・・ということになるわけです。結果的に、教師は「ちゃんと教えたのに、覚えてないの?」が口癖にならざるを得ないわけです。ちゃんと教えたら(高次の思考力さえつかっていれば)、忘れることはできないのに。

以上は、ある意味でテクニック的な部分についてでした。
より大切なのは、考えるに値する内容をそもそも扱っているのかという大きな問題があります。
思い出してください。算数・数学、国語、理科、社会のテストを。
問題の最後は、「考えなさい」で終わっていませんか?
でも、それらのほとんどの場合は、「答を出しなさい」であり、「覚えていますか?」のレベルのものが多いのではないでしょうか?
最初から低次の思考にしか向かないものを出題者側が扱っている結果です。


★ これについて詳しく知りたい方は、『「考える力」はこうしてつける』や『読書がさらに楽しくなるブッククラブ』『効果10倍の学びの技法~シンプルな方法で学校が変わる!』などを参考にしてください。

★★ Anderson, L.W. (Ed.), Krathwohl, D.R. (Ed.), Airasian, P.W., Cruikshank, K.A., Mayer, R.E., Pintrich, P.R., Raths, J., & Wittrock, M.C. (2001). A taxonomy for learning, teaching, and assessing: A revision of Bloom’s Taxonomy of Educational Objectives (Complete edition). New York: Longman.

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