2020年8月16日日曜日

中学・高校での「科学者の時間」

 本年度の「実践!わたしの教育記録」(小学館)の特選を受賞した私立高校教師の内山先生が寄稿してくれましたので、紹介します。(これは、2月に書いてくれたものですが、コロナウィルス騒動で紹介がのびのびになってしまいました。秋からの授業準備に活かしてください。)

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Nurturing Inquiry(『だれもが科学者になれる!』)の著者のピアス先生の実践は小学校5年生を対象としていますが、そのエッセンスは中・高生を対象とした授業でも役立てることができます。あえて校種の違いを意識するとしたら、小学校では学習の対象となる自然の事物・事象が手に取って目に見えるものを扱うのに対して、分子や原子といった目に見えない事象を扱うことが多くなるため、工夫が必要なことぐらいだと思います。

でも、心配はありません。ピアス先生の実践には工夫となるヒントも書かれています。例えば、高校の生物でDNAの構造やATP(細胞内でエネルギーのやり取りに関わる物質)とエネルギーの関係といった目に見えない世界は、模型によって可視化することができます。また、模型から構成される「発見ボックス」を用意することができます。DNAの発見ボックスでは、DNAを構成するパーツであるヌクレオチドを準備し、学習者はそのパーツを手に取って観察しながら、DNAの研究史に必ず登場する科学者のシャルガフ、ウィルキンスやフランクリン、そして2重らせん構造を解明したワトソンやクリックと同じ(ような)発見を通して、DNAの構造の特徴をつかんでいるようでした。
 また、ピアス先生の実践は、校種だけでなく、多様な授業担当者の個性に応じて役立てることができると思います。授業において、担当者が学習者を巻き込んでいく方法に絶対解はありません。これからも、授業担当者としての自身の特性と、その学校で利用可能なリソー(資源)を最大限に活かしていきたいと思っています。
 中学校での実践の様子をまとめました(
https://kyoiku.sho.jp/38152/)。カリスマ性とは無縁な授業担当者であっても、ピアス先生のマインドやヒント等から、前進できることをまとめた記録です。お読みいただければ幸いです

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https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/culture/00060/ でも、本書の紹介がありました。日本での教え方・学び方・評価の仕方は大きく転換する時期に来ています。

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