2017年5月14日日曜日

よりベターな授業実践に向けてのヒント集


○学習環境は生徒と学習を積極的に支える(P18)
 ・生徒がありのままで受け入れられ、尊重されること
 ・成功と失敗はどちらも学習の過程で必要なものであり、教室は成功しても失敗してもよい場所であること
← 学習環境にはハードとソフトの両面がありますが、両方がおろそかにされ続けている感じです。特に問題が大きいのは後者のソフトの方でしょうか。要するに、「学びのコミュニティー」を作れていない! 教師ががんばって教える場づくりに熱心なあまり? 子どもたちは、教師以外からの方がはるかにたくさん学んでいるにもかかわらず・・・・
 下のサイトが参考になります。

教師は一人ひとりの違いにしっかり注意を払う
「子どもたちは、みんな同じではないという世界を受け入れている/みんなが同じであることを求めているのではなく、自分が尊重され、大切に育てられ、自分ができないと思っていることが達成できたときの喜びの感覚を求めている」p18)
この部分も新鮮でした。P31の「哲学」の最初に「多様性は普通のことであり、価値のあるものである」とありますが、日本の学校(小中高)ではそのように考えられていません。私が相手にしている学習者は母語も異なる外国人ですから、「みんな同じように」を求める必要はないはずですが、「できる」「できない」で判断し、「できない」が続けばやり直しと当たり前のように考えていたことを反省しました。

カリキュラムは学習を支援するために構成される(P20~21)
 生徒がマイアミからボストンまで旅行することを目的とした例が分かりやすかったです。← ルートは複数あったほうが、子どもたちはありがたい、ということであり、まちがっても、一つのカリキュラム(ルート)に子どもたち全員を合わせてはいけない、ということ!

○何が一番大切なのかはっきりさせること(P20)
← このことに関心をもたれた方は、ぜひ6465ページを読んでみてください。とても分かりやすく書いてあります。
  教室で行われる学習というのは、本来、「教師」と「生徒たち」と「内容」の3者をうまくミックスして行うものです(詳しくは、5766ページを参照)。その内容の中の一つの材料である教科書をカバーするために行うものではありません。それのみが突出してしまうと、教育活動としてはプラス面よりもマイナス面の方が多いことをやり続けることになる気がします。

評価と指導は切り離せない
「教師にとって極めて重要な授業の目標は、生徒が自分自身の学習に責任をもつようになること」P21)
← これは、第1章ですでに強調され、この本の残りでも強調され続ける形成的評価の大切さです。http://projectbetterschool.blogspot.jp/2017/04/blog-post_30.html
日本では依然として、評価は指導が終った段階でするものという捉え方が主流ではないでしょうか? 生徒一人ひとりが自己評価でき(時には、教師やクラスメイトの評価も踏まえつつ)、自己修正・改善し続けることこそが学習なのに。これは、下に出てくる表2.1と入れ子状態にあります。

○レディネスが十分でない生徒(P23)

○「生徒は互いの成長を支えるために協力し合う」(p.18)、「生徒が互いに最良の支援者となる」(p.29)

2.1 教え方のアプローチが異なる教室の比較(P30)
 私の場合、×は左側(伝統的な教室)の方が圧倒的に多かったです。これからどうやって右側(一人ひとりをいかす教室)の〇を増やしていけるかが大きな課題となりました。← これは、教師ならどういう状況にある人でも参考になるチェックリストだと思いますので、ぜひ自己診断→自己修正・改善のステップを歩み始めてください。

〇一人ひとりをいかす教室の三本柱(P31)
文中にも出ていたことですが、この中の「哲学」が非常に共感できました。これがこの章で私が得たハイライトかもしれません。「原則」はまだ80%ぐらいしか理解していないと思います。「教え方の実践」は理想としては分かります。目指したいとは思います。

「生徒の努力が成功によって報われる経験を何度もできるように、足場かけをする」p.33)

「(教えることの)哲学は、あなたと生徒との関わりに、カリキュラムについての考え方に、そして、あなたの教え方の手順に、どのように現れていますか?」p.35)

以上は、『ようこそ、一人ひとりをいかす教室へ』(キャロル・トムリンソン著)の第2章(17~35ページ)のブッククラブからのハイライト=引用+コメントです。(カッコないは、本のページ数。←青字は、私の付けたし、です。

最後に、私のオススメを2つほど:

この章では、「一人ひとりをいかす教室」を実現するための8つの原則が書かれています。最初の4つについては、上ですでに紹介されていますが、後半の4つは
・教師は、生徒の多様性をもとに、(学習する)内容や方法や成果物を変える
・教師と生徒は学習について協働する
・教師はクラスの到達規準と個人の到達規準のバランスをとる
・教師と生徒は柔軟に活動する ~ ここで紹介されているオーケストラのコンダクターの例がとても分かりやすいです!
です。

もう一つは、この章の最後の部分:
○「教師としてあなたが現在実践していることと、教師としてあなたが力量を向上させようとしている方法について、読み、考え続けるつもりなら、あなたが言葉にした(あるいは、まだ言葉にしていない)教えることの哲学★について考える時間を取ってください。~上のp.35の部分~ 現在のあなたの哲学は、教育者としてのあなたの成長にどのように役立っていますか? それはあなたの影響力をどのように制限する可能性がありますか? 思慮深くて、振り返りを大切にする授業実践は、教師と関わり合う生徒たちの自己実現に貢献するだけでなく、教師の自己実現にも寄与するのです。



★ 哲学という言葉に違和感があるなら、教えることについての「考え」や「方針」でもいいです。


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